7月 15

ブルージャスミン

引っ越しをして、ずっと滞っている映画評をそろそろ再開したいと思います。滞っている量も、東京で観たもので上げていないものが未だにあったりするので、滞っているものから1本、最新のものから1本という感じで、積み残しが0になるまでしばらく続けたいと思います。

ということで、「ブルージャスミン」を観ました。

評価:★★★★

尊敬する監督の一人で、名匠の域に達してきたウディ・アレンの新作。今回はニューヨークで花のセレブ界を満喫してきた女性の転落人生を描いたシリアス・ドラマ。とはいっても、アレン監督のこと。そう簡単に悲劇になるはずがない。どこの引用だか忘れましたが、よく言う言葉として、「本人にとっての悲劇は、他人からみたら喜劇になる」(俗に、「他人の不幸は蜜の味」と同義)と言われますが、まさにそれは、この映画のためにある言葉。主人公・ジャスミンの、どん底に落ちながらも、どこかセレブ界の幻想を日常の中で頑なにまで追い求める姿は、格好の喜劇ネタにしか映らない。意図して、そういうドラマに仕上げるのは、まさにアレン流の作品だと思わせてくれます。

本作の見どころの一つになっているのは、本作で今年度アカデミー賞主演女優賞に輝いた、主人公ケイト・ブランシェットのまさに壊れていく様の演技でしょう。ここ数年、アカデミー賞の主演女優賞は、若いのに年取った演技がこなせたとか、女優の美貌を壊したメイキャップで輝いたとか、どこか女優業ではない傍流の部分が評価された人が多い印象でしたが、本作のブランシェットは、自分自身の演技の幅を広げた(キャラクターとしては壊れた演技だけど、、笑)ことが正当に評価されていると感じます。彼女が真面目に壊れた役を演じることで、作品としてシリアスの上にコメディ要素がうまくエッセンスとして加わってくる。アレンの映画は女優が輝くことが多いのですが、まさに今回のアレン映画のヒロインとして相応しい演技力を見せていると思います。

ただ、従来のアレン映画の流れに比べると、何かプラスアルファ加わった面白さというのが少し希薄なのが全体を通して気になりました。ジャスミンをボロボロにするなら、中途半端にせずにとことんやってみたほうが、作品に別の面白さができたかもしれません。

次回のレビュー予定は一気に2本分。「THE NEXT GENERATION パトレイバー 第2章」、「同 第3章」です。

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