1月 21

KindlePaperwhiteを昨年末に買って重宝しています(というより、Kindleというシステム全体を重宝している、、が正しい)が、それ以前にいろいろ作っていた自炊ファイル(PDF)をKindleで共有することが上手くできたのでカキコします。

まず、自炊ファイルをKindleパーソナルドキュメントでクラウド共有することのメリットを。

  • 読み終わった位置の共有できる
  • ブックマーク、メモが共有できる(→あとで読み返すときに便利)

当たり前ですが、これですよね。Paperwhiteだろうが、スマフォやタブレットのアプリだろうが、こういう共有が上手くできるのが電子コンテンツ+ネットワーク共有の良い点。これ、KindleStoreで買ったコンテンツなら何も考えずにできるのですが、自前の自炊ファイルでも一手間かければできます。

①手持ちのPDFをMOBI形式のファイルに変更

まずは手持ちのPDFをKindle純正のMOBI形式のファイルに変更します。KindleはPaperwhiteでも、アプリでもPDFは普通に見ることができるのですが、ここで変更する理由は2つ。

実際にPDFとMOBIとはどれくらい違うかというと、まずはPaperwhiteで見たときは、

★PDFファイルをPaperwhiteで見た場合(引用:「おとなの叱り方」和田アキ子著
screenshot_和田アキ子

★MOBIファイルをPaperwhiteで見た場合(引用:「しろばんば」井上靖著
screenshot_しろばんば

なんか一目瞭然ですよね。ちなみに、手持ちのAndroidのKindleアプリで見てみると(使用端末:ドコモ L-06D)

☆PDFファイルをKindleのAndroidアプリで見た場合(引用:「おとなの叱り方」和田アキ子著
2013-01-21-15-35-32

☆MOBIファイルをKindleのAndroidアプリで見た場合(引用:「あすなろ物語」井上靖著
2013-01-21-15-36-12

こちらは僕の端末ではPDFが下1/3くらいが切れてしまいました。。MOBIファイルも決して綺麗ではないですが、読めないことはない感じです。

なので、まずはMOBI形式のファイルに変更します。いろいろ形式変更のソフトがありますが、僕は下記を参考に、ChainLPというWindowsのソフトを使っています。これが一番綺麗に変換される感じでした。

参考)漫画をKindle Paperwhite用電子書籍(mobi形式)に変換する方法(PDF,JPEG,PNG) | TeraDas-テラダス

ただ、一点ChainLPを使うときに下記のような設定をして下さい。

2013-01-21 13.36.10_ano

ポイントは詳細設定のKindle fixedをOFFにすること。こうしないとPaperwhiteはいいのですが、Androidアプリのほうが真っ白で何も表示されません。fixedにしないと、余白ができるし、コントラストも若干弱くなるんですが、この辺りはこれからいろいろ試してよいチョイスを見つけたいと思っています。

②作成したMOBIファイルをKindleパーソナルクラウドにアップする

方法は下記を参照。メールでMyKindleに送るという方法が一般的みたいですが、僕はDropboxに一回上げて、AndroidアプリのSend-to-Kindleで送っています。送信条件はどちらの方法も、上限は50MBなのでご注意を。

参考)Kindle パーソナル・ドキュメントへの送信を試してみた | WWW WATCH

これで各端末やアプリの「クラウドからダウンロード」、もしくは「クラウド側から端末送信」することで見ることができると思います。

Kindleの登場で、個人的な読書環境がガラっと変わりました。肝心のPaperwhiteの感想とかは後日まとめるとしてw、皆さんも快適な電子書籍ライフをお過ごし下さい。

6月 20

仕事で書籍業界のウォッチをするのですが、今週驚いた二大ニュース。

まずはこれ

ダイソー

「ダイソー」の書籍が電子書籍で読めるようになりました!
これからもどんどんタイトルを追加していきますので、是非、ダウンロードしてくださいね!

100円ショップでお馴染みのダイソーによる電子書籍業界参入。

ダイソーに書籍ってイメージ無いんですけど、、と思って調べると、運勢本や生活辞典など、100円で買える書籍をずっと作っているんですね。ダイソー出版という出版社もあるみたいです。

でも、ダイソーというとやっぱり100円ショップ。そのブランドを活かした出版を電子書籍ではより容易にできることを考えると、これからもあんなところが出版を、、、というところが出てくるかもしれません。

何だろ、

    トヨタ出版など車系 :フツーにありそうな気が。
    ローソン出版などコンビニ系 :これはどういう本をだすか面白そう
    吉野家出版などファーストフード系 :牛丼の歴史とか?w
    スタバ出版などカフェ系 :店内で読めそうなラインナップにしそう

いろいろ考えると面白い。誰か、一緒にビジネスしません?

もう一つはニュース番組にも取り上げられた

TSUTAYAが公立図書館を運営へ
2012年06月11日 公開

 佐賀県武雄市が、来年4月から市立図書館の運営をレンタルソフト店「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC社)に委託する計画を進めている。

TSUTAYAの図書館運営のお話。市民目線からいえば、TSUTAYAというブランドイメージがやる図書館というのが興味津々なところ。ニュースの狙いを読んでみると、、

樋渡市長が提起した「市民価値」とは、〔1〕20万冊の開架(雑誌、新刊本を含む)、〔2〕雑誌が買える図書館、〔3〕映画・音楽の充実(DVDとCDは有料貸し出しを含む)、〔4〕文具販売(プライベートブランド含む。市はスペースの賃借料を得る)、〔5〕検索・ITソリューションの充実、〔6〕カフェダイニングの併設、〔7〕蔦屋書店のノウハウ注入、〔8〕図書館カードに変えて、TSUTAYAのTポイントカード利用(Tポイントが貯まる)、〔9〕開館時間の拡大と年中無休、である。

まさに図書館を交流やくつろぎの場として提供しようという狙いがあるみたいです。大学と違い、地域図書館にはその地区の情報アクセスとしての役割が担われています。一番ダメなのは、欲しい本なり雑誌なりがその図書館に提供されていないこと。情報アクセスの弊害としては、司書の専門性が低く、希望の情報まで辿りつけないというのも長年の課題でもあります。

でも、他方、「来たい図書館、便利な図書館であるか」という部分も、もっと考えられてもいいとは個人的に思います。それがカフェの併設やポイント利用であるかは疑問符だけど、「いきたいけど開いていない」、「どこに何があるかわからない」、「なんとなく入りづらい」というのは検討されるべき問題でもあるような気がします。

中身どうのこうのより、この二つのニュースは業界に少なからずインパクトを与えています。これで書籍や図書館というもののスタイルが再考される、いいきっかけになってくれたらと思います。

1月 26

日時:2012年1月25日(水) 19:30-21:30
場所:デジタルハリウッド大学院 秋葉原キャンパス

昨日(1/25)に、まつもとあつし氏著「スマート読書入門」の出版記念セミナーに行ってきました。電子書籍関連ではいろいろな示唆も得れたので、忘備録を兼ねてブロクに書きたいと思います。

著者のまつもと氏とヴァーチャル本棚「ブクログ」電子出版サービス「パブー」を展開するpaperboy&co.の吉田氏、書評ブログ「情報考学」でデジタルハリウッド大学教授・橋本氏の三名で、読書、電子書籍とKeyとした講演、パネルディスカッションが行われました。

講演内容は全てフォローできないので、気になったポイントを中心に書いていきます。

★ソーシャルメディア時代の本の意義

Twitter、Facebook、2chやニコニコなど、ソーシャルメディア全盛の時代。まつもと氏も触れていましたが、特にTwitterや2chなどリアルタイムな情報メディア時代に改めて、知識の集約としての”本”の意義とは何だろうというところからセミナーがスタートしていきました。

産業革命時代、グーテンベルグの大量出版技術から紙の書籍が生まれ、それから本の進化は電子書籍時代まで進んでいないのではないでしょうか? それでも本という形が最初から完成形なのは、昔ならいわゆる口コミによるデマ、今の時代ならTwitterなどのリアルタイムメディアに左右されない知識の集約庫になっているからでしょう。出版というプロセスに著者、編集者などの多くのフィルタが入ること、多くの読者に触れられることで、情報がより確かに洗練されていく。そうした本の特性が、本の本たらしめる部分なのかなと思います。

そういっても、インターネット時代に突入した昨今。それなら本を中心としたコミュニティ形成にインターネットが一役買えることも事実。橋本氏がざざっと、国内外の楽しい本をメインとしたサイト紹介がされましたが、こうしたサービスの向こう側に次世代の本の姿が見えてくるのかもしれません。

<橋本氏が紹介した国内外の読書サービス(メモできたもの)>

◆海外の電子書籍サービス

  • Amazon.comのポピュラーハイライト共有:どこに注目しているかを共有
  • COPIA:電子書籍上でハイライト共有
  • Shelfari, Goodreadsなどの大規模読書SNS:Topの本だと何万レビューがつく
  • bookcrossing:ブックカバーをKeyとした旅する紙書籍共有。日本版もあり。
    ブックカバーでラベル化→本を放す→共有場所に置いていく→ネットでアクセスして感想共有→次の読者へ
  • BookLamp:本の特徴指紋を解析する(BookDNA)
  • Smart E-book Interface(KAIST INC):


    本の厚みを感じるインターフェイス
    →電子ならではのめくり方があるのでは?の模索研究。まだ本らしい進化は続く。
  • BookTrailers:1冊の本についての予告編をつくってくれる
  • Scribd:書き込み可能の読書共有サイト

◆国内の先端書籍サービス

  • ブクログ :吉田氏による詳しい紹介あり。
    →本棚の共有だけでなく、例えば、オンラインでの企画展示のような使われ方もしている(城西大学)
    →スマフォンアプリ化してから、本屋さんでブクログをチェックする人が多くなった
  • 本棚ORG:本棚共有サイト
  • 読書メーター:読書量の共有サイト
  • Qlippy:コメントハイライトと感想共有
  • つなが本屋シェアミー:漫画、小説の好きなコマを共有(スマフォン専用)
  • bookpic:書籍や雑誌の表紙上にコメントできる。落書きを残していくサイト
  • 猫町倶楽部:各地で開催されるリアル読書会(東京、関西、名古屋中心)とヴァーチャルとの融合。面白そうな本のときはちょっと参加したい。
  • Jコミ:著作権が切れた漫画に広告を挟み、広告料を著者と共有
  • 角川ニコニコエース:ニコニコ静画の電子コミック版
  • 書籍POP投稿サイトbukupop:書籍のポップを作って共有
    →書評よりアフィリエイトでもうけられるのでは?
  • e読書ラボ:神保町にある国立情報学研究所のe読書体験型ラボ
  • (おまけ)エア新書:新書の表紙をでっち上げることができるサイト
  • (おまけ)新刊.net:気になる著者の出版スケジュールを登録することができる

★紙書籍に対する電子書籍のこれから

上記のような紙書籍がインターネットサービスと結合し、新たな方向性を持ち始めた中、一方の電子書籍がどのような進化をたどるかが注目を集めるところです。iPadは十分広がり、電子書籍元年と言われた2010年から正直爆発的に電子書籍が広がったという感じはない現在、電子書籍に関わる人たちの模索は続くところです。

講演の中でもパネルディスカッションでpaperboy&co.の吉田氏がKeyとなる話をされていたので、メモしときます。

◎電子化という進化の方向(ゲームの世界とのアナロジー)

  • 電子書籍がコメント・感想だけでなく、動画、音楽というメディアミックスに。
  • ゲームの進化とのアナロジー
    アナログ(オセロ、トランプ、ボードゲームの世界)
    →デジタル化(ファミコンからPS3)
    →ネットワーク化(MMOG:Massively Multiplayer Online Gameからモバゲーまで)
    と同じ進化を辿るのでは?

◎電子書籍の未来を語るKey(体験型と同時性)

  • 体験型:2chサイトから発展する物語→紙にすると面白くなくなる
    →ここでの面白さは著者と一緒にドラマの中を体験するところ
    「電車男」から「ゲームセンターで出会った不思議な子」まで
  • 同時性:ライブとTwitterとの融合(発表会でも使われる)
    →コメントに対して、出演者が即時に反応できる同時性

個人的にはiPadなどの書籍(タブレット)端末が普及し、電子化されることで何でもできるようになったことが、逆に電子書籍の進化を妨げているのかなとも思います。それには小さい頃から紙の書籍になじんだ人が、いろんな形で表現される電子書籍というニューメディアに慣れしまないリテラシーの部分が大きいと感じます。

とはいうものの、スマフォンの普及でソーシャルゲームがここまでに拡がるとも思わなかったので、どこかでパラダイムシフトが起こるのは間違えないです。それを引っ張るのはどこなのか? どこにビジネスチャンスがあるのか? 電子書籍はまさに今が面白い市場といえるかもしれません。

11月 18

仕事柄、電子書籍関連も最近ウォッチするようになったので一言。。

PDFより何が優れているのか? 事業仕分けで電子書籍中間フォーマットを議論 – ケータイ Watch
これはありえないでしょ!!

民主党政権になって、1年とちょっと。僕は基本スタンスとして、4年は同じ政権でいないと後々評価ができないと思っています。小泉さんは7年かやって、後に続く安部政権とともに評価がようやくされてきた(多くはネガティブなものばかりだけどw)ところなんです。麻生さんとか、短すぎて、そういえばいましたね、、くらいしかなっていないと思います。

で、政権に就いた途端に、後退した改革の声。これも正直致し方ない部分があると思います。政権でない野党にとって、政治が今どのような状況で動いているのか、裏で動く部分は見えないわけですから。だからこそ、理想論で議論するしかないし、政権与党の足元がぐらついていたら一気に支持を獲得することもできます。しかし、そうした風が吹いても、与党になれば分かることや守らなければならないところもあります。そういう意味で後退と感じる部分が多くなっても仕方がないのです。

しかし、そうした中で唯一評価されてきた目玉政策の一つがいわゆる「事業仕分け」。官僚を相手に、申請された予算枠が適切かをどうかを与党議員や知識人もいれて議論し、その予算申請が適切かどうかを判断する場となっています。

それで今回、議論になったのが「電子書籍中間フォーマット」に関する予算編成について。。

2010年度の同事業では「電子出版の環境整備」をテーマに設定し、8億3600万円の予算を割いて委託事業を公募。「電子書籍交換フォーマット標準化プロジェクト」や「EPUB日本語拡張仕様策定」など10案件が採択されている。

 「電子書籍交換フォーマット標準化プロジェクト」は、各種電子書籍配信フォーマットに変換可能な、オープンかつフリーな電子書籍の交換(中間)フォーマットを策定するというもの。一方の「EPUB日本語拡張仕様策定」は、EPUB対応デバイスで縦書きやルビなど、日本語組版を実現させるためのもの。いずれも、今後の日本の電子書籍普及のキーとなる技術とされている。

日本でもiPadやシャープが作る電子書籍端末が今冬次々とリリースされることもあり、電子書籍元年ではないかといわれています。もともと携帯小説などは十分認知されるようになってきたし、先行するiPadでもアプリ配信という形で様々な書籍が並ぶようになってきました。

こうしたいろいろな部分で先行スタートしている電子書籍ですが、一つ問題となっているのはサービス事業者が各社ともそれぞれ違った基盤、違ったフォーマットで配信しているということ。同じ電子コンテンツでは普及が進んでいる音楽コンテンツを見るとわかりやすいのですが、iTunesであったり、LISMOであったり、Moraであったり、各サービスが違ったファイルフォーマット、違ったファイル形式やDRMでサービスをしているということになっています。

ここで、電子書籍が各社違うフォーマットでサービスするとどうなるか考えると
① 例えば、ユニバーサルサービス(ルビや音声再生)をしようと思うと、各フォーマット別に対応しなければならずコスト増
② 結局は大手の出版サービスのフォーマットが勝ち、一極集中が起きる。中小は断念し、小規模出版ができなくなる
③ 書籍を集め、市民に無料で提供すべき図書館サービスはコスト増となり、有料サービスもしくは電子書籍は非対応になる
④ 書籍を海外サービスするときも、各社違うガラパゴスフォーマットからの変換となり、コスト増
⑤ ①~④のコスト増に、結局国内電子書籍市場は拡がらず、海外の黒船(Amazon? Google?)が駆逐する

というシナリオが十分に考えられます。

電子書籍交換フォーマット標準化について、総務省が「国が予算を付けなければ、おそらく標準化は行われなかったと思われる。そうなると、日本で電子書籍のビジネスがシュリンクする」と訴えると、仕分け人は「民間の業者として標準化しなければビジネスが成り立たないのだから、国が予算を付けなくても標準化はなされるのではないか」と指摘。これに対して総務省は「標準化できなくてもビジネスにはなるが、企業ごとに異なるフォーマットになる。それではコンテンツの囲い込みになるため、国民にとって迷惑」「放っておけば3グループに分裂する状況。小さな市場で競争すれば、グローバルでは共倒れになる。日本の電子書籍が世界のプラットフォームに上っていく環境にならない」などと反論した。

仕分け人は市場競争の中で優位なフォーマットが生き残る、いわゆるデファクトスタンダードを指摘していますが、電子書籍のような大きな市場の問題は国や協会が主導するデジュールスタンダードがいいのです。それはグローバル化という上記④の問題だけでなく、高齢者や障害者向け対応という側面もある①や図書館サービスを守るという③の問題を国はどう考えているのか聞きたくなります。

電子コンテンツという意味合いで、電子書籍の市場を見てはならないと思っています。書籍は図書館でも、学校も使われる。教育や社会福祉といった問題も含めてみた、大きな視点で舵取りをしないといけないのです。これは医療や介護などと同じ目線が必要なのです。

「事業仕分け」を評価していないわけではありません。でも、これは公開処刑の一面も拭えなくて、申請するほうより、切るほうがどうしても見栄えがいいし、ヒーローっぽく見えてしまうのです。そうならないためにはちゃんとした戦略なり、ビジョンなりをもって望んで欲しいと切に願います。

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