2月 12

観月橋プロジェクト

僕は昨年の7月まで京都の山科というところに住んでいたんですが、その山科からほぼ近い場所に「観月橋」という場所があります(京阪・宇治線沿い:「観月橋」駅)。ここは交通の要所でもあり、車だと結構渋滞するポイントでもあるのですが、電車だと宇治線という結構のどかなローカル線もあり、京都や大阪へのアクセスもなかなかです。近くは宇治に通じる宇治川も流れ、自然豊かな場所でもあります。

ここに昭和37年に集合住宅が建てられました。写真を見るとよくわかるのですが、4階建ての白い外観が特徴的なエレベータなしの当時よくあった集合住宅タイプ。東京だと多摩、大阪だと千里に巨大集合住宅団地として建てられ、昨今では建物の老朽化と、住民の高齢化が大きな問題になっています。

さて、観月橋の集合住宅に戻って、この団地がどこにでもあるこの団地が各方面で話題になっています。それは上記リンクのページを見てもらえば分かるのですが、古い建物の空間構造を変形させ、アメリカンスタイルをうまく取り入れた形でリノベーションを遂げているのです。プロジェクトとしてはURが中心になっているようですが、賃貸料は据え置きで、こういう新しい空間が手に入るということで若い人を中心に注目が集まっています。

無論、部屋の構造が変わっても、老朽化マンションではあるのでエレベータはなかったり、洗濯機は外に置かないといけないなどの不便な面はそのままのようです。でも、高齢化した住民から、体力に余裕のある世代に移り変わることは意味のあることではないかと思います。若い世代に移ってもいいと思いますし、SOHOの拠点のような使われ方もありでしょう。僕はここにはいろんな可能性があると思っています。

今、若い世代は移住、Uターンブームなところも一部あり、過疎化した地方都市や離島でイノベーションを起こす人たちもいます。でも、都会で住むという選択肢もあると思うのです。そういうときに都市の高齢化問題を如何に分散させていくかという知恵がこのプロジェクトにはあると思います。

そこでどうでしょう。こういう団地にキンコーズのような集合型ワークスポットを作るのは、インターネット環境はもとい、コピー機や会議室の共有、秘書業務を代行するようなサポート人員を配置してもいいかもしれません。そこに働いている人の子どもたちをみてくれる保育施設、健康的な食事を置く共同型社員食堂(配食サービスもしてもいい)、労働環境を監視する産業医と診療所を併設させてもいいと思います。もちろん、従来住んでいた住民を巻き込んだ集合型介護スポットを作ってもいい。都市だと離れがちな人と人とのつながりを、こういう新しいプロジェクトで紡いでいくのです。

僕はIT業界の人間なので、クラウドやネットワーク環境をこういう施設にうまく合わせ込んでいきたい。たくさんの企業、業種の人たちのコラボレーションはもとい。各自の情報は堅牢に守るセキュリティ技術も必要です。テレワークと呼ばれる分野はなかなか広まりを見せませんが、こういうところにそういう拠点を作りたいです。

住むという中に働くということを定義づけていく。21世紀のワークスタイルはそういうところにあるのです。

<参考>

トム・ラス,ジム・ハーター
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2011-10-16

ギャラップ社が世界150カ国でおこなった調査を元に、人が幸福に感じた習慣を定義し、その生き方を勧める本。幸せのポイントは下記5点
・仕事の幸福
・人間関係の幸福
・経済的な幸福
・身体的な幸福
・地域社会の幸福
読んだところ、経済的な幸福、身体的な幸福は個人が気をつければある程度カバーできるが、仕事や人間関係は周囲の環境によって大きく左右される。そこは人に対して、自分が如何に真摯に対すれるかというところにかかってくるのではないかと思う。地域社会は治安というベーシックな視点から、そこへの貢献という思いもよらなかった視点も気づかされた。

各ところでポイントは「初期設定」だろう。人は面倒臭がってやらない生き物なので、是が非でもやるような環境に周囲を巻き込むこと。これはネット社会なら更にやりやすくなってきているのではないかと個人的には思う。

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