12月 22

F1ビジネス―もう一つの自動車戦争 (角川oneテーマ21)
F1ビジネス―もう一つの自動車戦争 (角川oneテーマ21)

モータスポーツの最高峰F1の裏側・ビジネスとしての側面が書かれた一冊である。著者は実際に1999〜2005年までホンダ・レーシングチームの社長として、BARホンダF1チームを支えていた。この本が発刊されたのが2006年で、2006年シーズン前に書かれているものとして読まなければならないが、F1興行を支えるバーニー・エレクストンは今だ健在(もう一人の雄、モズレーは2009年シーズンを境に引退)で、エレクストンが考える魅せるF1の構図は未だに変わっていない。そのことを念頭に置くと、F1というスポーツ興行の裏に如何に多くのマネーが流れているのかを感じることができる。

ただ、読んでて痛々しいのが、2005年シーズンでは日本の二大巨塔として参戦していたトヨタとホンダというトップメーカーが今のF1業界にはいなくなったという事実。モータースポーツの中心であるF1を支える、各国の自動車メーカーの研究開発としての存在意義が失われている(BMWの撤退、ルノーの大幅投資削減等々)ということだろう。エコカー・シフトで、エンジンメーカーがどうF1に取り組んでいくのかが今後の鍵でもあろう。

そういう意味ではタイヤだけでなく、エンジンワンメイクで、走る広告塔スポーツとして発展させていくのも1つありだろう。事実、レギュレーションが厳しくなり、スポーツとしてドライバーやメカニックの腕を競うという意味での面白さが2012年シーズンのF1にはあったのだ。お金も物資も大量に投入する派手なスポーツから、今後はどう変化していくのか? ビジネスの今後も面白くなるという意味も含めて、今読んでおいてもよい本だろう。

野球はここ2,3年でファンになった”にわかファン”だが、F1は1990年からずっと見ている。この本を読んでいると、改めてF1の歴史の変遷を感じずにはいられない。

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