6月 05

旅立ちの島唄

「旅立ちの島唄 十五の春」を観ました。

評価:★★★★
(★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高で、★が最低)

十五というのは子どもと大人の切り替わる歳。僕がこの時期に思い出にあるのは、今でも一部の中学で行われている”立志の会”(立志式、立志会とかも言われたりする)だろう。学校で親を呼んで、合唱や習字を披露したり、親に”感謝の言葉”と”大人にあたっての宣言”をしていたりする。この時期を境に大人になったと感じる瞬間というのはいくつもあるけど、一番印象的なのは親に対しての接し方・感じ方が変わるときではないだろうか。今までは守ってもらう存在だったのが、親も他の大人と変わらないと一個人であると感じるとき、このときほど一人立ちをしなければと思わされることはないんじゃないだろうか。

この映画は沖縄から360km離れた離島・南大東島を舞台にした物語。この島では小中一貫教育だが、島内に高校がないため、中学を卒業する若者は沖縄本島の高校へ通学するために島を旅立っていく。民謡グループに所属する主人公の少女は最後のお別れの式で島唄を披露するため、島での最後の一年を過ごしていく。

島ののどかな雰囲気とは裏腹に、家族でさえバラバラな状態にある主人公を取り巻く環境。いつかは島で一緒で暮らせるだろうという安易な想いを抱いていたが、高校へ行くための最後の一年で、彼女が頑張れば頑張るほど家族は離れていく。厳しいが、これが大人の世界の現実なのだ。厳しい社会ながらも、いろんな人に感謝の念を抱きながら、唄いあげる少女の清い視線が作品をとても心地よいものにしている。

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