7月 01

グランド・マスター

「グランド・マスター」を観ました。

評価:★★★★
(★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高で、★が最低)

映画作品は当然のことながら、監督の味が出る。一方の観る側にも好みがあるので、同じテーマを扱った作品でも監督の持ち味によって、ある人には傑作になっても、ある人には駄作に写る。世の中というのはそんなものである。その意味では本作の監督、ウォン・カーウァイも一種独特の持ち味を持った監督でもある。あくまで僕の印象でしかないが、この人は物語を語るというよりは、映像の印象で勝負する監督さんだ。印象的なシークエンスを積み重ねることで、作品のメッセージ性というのを強く押し出す。そんな特徴をもった人なのだ。

だから、ブルース・リーの師で伝説のグランド・マスター、イップ・マンを描くといっても、その伝記を描くというわけではなく、抗日戦争(日本でいう日中戦争)から現代へという中で、中国の武術がどのように変遷していったかに作品の中心軸が出ている。作品のスタートとラストだけ見ると、確かにイップ・マンの伝記映画のようだが、物語の大半はイップ・マンを中心とした多くの武術家の半生をつないでいく群像劇風になっている。それぞれの映像(格闘シーン)がとにかく美しく、まるで武術ではなく舞踏シーンを観ているような艶やかさだ。

だが、こういう作風なので物語の中心軸にいるイップ・マンはともかく、いろんな武術家がどういう人物でどういう半生を送っていったががイマイチ分かりにくい。特に、チャン・チェン演じるカミソリは歴史上は重要な人物のようだが、作品ではなぜ出てきたのか分からないキャラクターになってしまっている。これは各人物の歴史を観るのではなく、その背景にある時代の変遷を楽しむ作品なのだ。

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