6月 28
「リアル 完全なる首長竜の日」を観ました。
評価:★★★
(★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高で、★が最低)
本作の監督である黒沢清監督の持ち味といえば、藤子不二雄の少し(S)不思議(F)なSF作品ならぬ、少し(S)おかし(O)なSO作品だと僕は思っています。描かれる世界は日常とあまり変わりはないんだけど、何かおかしな世界。そのおかしなという部分が不安感につながり、人が怖いと思う部分にもつながってくる。黒沢監督がホラー映画の監督とも分類されることもあるけど、僕はホラーとSF作品との境界にある、SO的な世界の監督だと思っています。
そんな黒沢監督が手がけた新作は、『このミステリーがすごい!』大賞にも選ばれた乾緑郎の「完全なる首長竜の日」。人の記憶の中に入り込み、相手を深い眠りの世界から呼び覚ますという、SF的な世界観と記憶の中の歪んだ日常世界とが混在し、文字通りにSO的な雰囲気がムンムンと漂う。人の記憶というのはそんなに単純なものではないので、記憶の節々に出てくる記憶の凝集体が題名にもなっている首長竜でもあり、節々に出てくる異様なキャラクターだったりする。それが何か当たり前に感じれるように世界観を作ることができるのが、やはり黒沢監督のすごいところだと思います。
物語としてみると、結局人の恨み辛みという表面的な部分だけで終わってしまうのがちょっと物足りない。言葉では言い表せない感情を記憶の世界では表現できるので、物語としてはもっと深みのあるものを求めたいところなのです。とはいいつつも、もうちょっと上映時間も短く、スマートにして欲しいかと思います。