7月 18

奇跡のリンゴ

「奇跡のリンゴ」を観ました。

評価:★★★★
(★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高で、★が最低)

数々の困難を乗り越えて、不可能といわれた”無農薬リンゴ”を実現させた木村秋則氏の半生を描いた映画。あらすじ・結末がこう一言で書けてしまうと、なんだ終わりが決まっている映画でそんなに面白くないのでは??と思わせるところが、見る側には多分にあるのではないかと思う。いやいや、この映画は苦労の末に成功するという結末が分かっていながらも、映画作品としての面白さが十二分なほど詰っている秀作なのだ。

まず、映画作品の重要なパートである演じる役者がいい。一般人を演じるには阿部サダヲという役者はどうなのだろうと思ったけど、根っからが明るく前向きな(であろうと思われる)木村氏の良さをうまく引き出していると思う。それに何といってもいいのは、支える妻を演じた菅野美穂だろう。作品の冒頭から妻・実栄子の視点で描かれていることもあるが、奇想天外なことを真面目に取り組む夫を明るく笑い、そして献身的に支える妻という構図が、この2人の役者のかけ合いと見事にハマっているのだ。この空気感はなかなか自然には出ないものだと思うので、役者の力というのがうまく表に出ている結果なのだと思う。

それに映像や音楽の使い方も巧みだ。リンゴ畑の風景は物語によって変えていることは分かるのだが、どうやって自然空間をうまくコントロールしているのだろう?と思うくらいに、すごく自然な風景美をうまく作りだしている。それに物語に合った美しい旋律の音楽も聴きごたえ満載。改めながら、久石護という人の力量を感じることができる作品になっている。

物語の筋が見る前に予め分かっていても、作品のつくり方にいろんな工夫を凝らせば、すごい作品になるという典型の作品。いい映画なので、多くの人に観てもらいたい作品だ。

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