「トゥ・ザ・ワンダー」を観ました。
評価:★☆
(★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高で、★が最低)
映画界ではよく有名な監督さんの作風をとって、自身の映画スタイルを構築する人がいます。スピルバーグ風とか、ウディ・アレン風とか、コッポラ風とか、、こうやって真似されるほうは嬉しいのか嬉しくないのかは分かりませんが、ある意味、誰も真似しない(真似できない)領域の監督が本作の監督テレンス・マリックでしょう。昔のマリックの作品は知らないのですが、「シン・レッド・ライン」以降の彼の作品は映画というよりは、映像に曲がついている交響曲のような作品と思ったほうがしっくりきます。ストーリーはあるようでないようなもの。大きなテーマがあって、映像なり、台詞なりはあくまで付属品としか思わないようなつくり方は、よく言えば芸術作品、悪く言えばエンタメ無視の作品ともいえるかもしれません。
そんなマリックですが、僕は近年のマリック(といっても2作品しかないですが)を高く評価しているんです。2006年の「ニュー・ワールド」はポカホンタスの物語を異なる2つの大きな世界に引き裂かれる2人の愛の物語としては見事だし、2011年の「ツリー・オブ・ライフ」も父子の間に横たわる断絶と生命種の営み・つながりとを見事に融合表現した作品でした。こうした芸術度が高いマリックが高尚でないテーマを扱うと失敗しちゃうのが、本作のような感じの作品でしょう。男女の恋とその後に訪れる破局という瑣末な事柄を、ダイナミックな映像美で描かれても心に響くものが何もない。見ていて眠気しか誘われない残念な作品でした。
ただ、こういうタイプの映画は、もはやテレンス・マリックしか撮れないのも事実。本作でも見せた、美しく圧倒的な映像美をこれからもいろんな作品で見せて欲しいです。