9月 29

パークランド

「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」を観ました。

評価:★★★

1963年11月22日、アメリカの第35代大統領ジョン・F・ケネディがテキサス州ダラスで暗殺されるという事件が起こった。この事件は当時普及を始めていたカラーテレビ放送におけるショッキングな映像として、未だに人々の記憶に刻まれる暗殺事件となっている。しかし同時に、犯人といわれているオズワルドの不可解な暗殺も相まって、半世紀がたった今も未だに謎が多い事件となっている。この謎という部分が映画の素材としても恰好なネタであり、過去にもケネディ暗殺を取り上げた多くの作品が公開になっている(オリバー・ストーンの「JFK」が傑作。その中で本作ほど、リアリティに迫った作品もないのではないだろうか。

この作品の面白い点は、問題となった暗殺場面を捉えたカメラを使って撮影をした人物や、ケネディを搬送した先の病院の人々の右往左往ぶりなど、あの事件の日と、その前後で直接的に動いた人々のドラマに焦点が当たっていること。これが例えると、TVシリーズの「ER 緊急救命室」のような、その場に居合わせているようなリアリティとして観ている側に迫ってくるのだ。政治劇どうのこうのの前に、目の前で消えようとしている命を救おうとする人々、そして、その悲劇を生み出した犯人をいち早く捉えようとうごめくFBIや警察などの人々、暗殺の場に居合わせてショックのあまり動けなくなっていく人々、、などなど、人々のありのままの姿を描き出したことに、この映画の功績があるのではないかと思います。

しかし同時に、この映画のリアリティの部分が映画の欠点にもなっているかなと思います。あまりに近視眼的過ぎて、作品全体を引いた目で観たときに、この作品はリアリティ以上の何をテーマに描いていこうとしているのかが、最後の最後まで見えなくなっているのです。悪く言えば、ざわざわとしていました、、、という状況しか見せていないように思うのです。テーマが見えないので、作品自体も地味にしか感じない。せっかく名が通った俳優陣がこれだけ出ているのに、もったいない作りの作品になってしまっています。

次回レビュー予定は、「グレートデイズ 夢に挑んだ父と子」です。

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