10月 20

アバウト・タイム

「アバウト・タイム 愛おしい時間について」を観ました。

評価:★★★★

お金持ちであっても、子どもであって、お年寄りであっても、男であっても、女であっても、、、全ての人に共通で与えられるのは、”時間”だ。文字通り、人生というのは長きにしろ、短きにしろ、この貴重な時間というのを、どのように捉え、有意義に過ごすかにかかっている。この映画「アバウト・タイム」は、そんな時間について、すごく考えさせられる映画になっている。

自分は特に30代を過ぎてからだが、時間に対する感覚がすごく繊細になった。というのも、20代前半の学生時代はすごく楽しめたし、仕事をし始めた20代中盤も、毎日をただやり過ごすだけで精一杯だった。それが30代を迎えようとする、20代終盤で体調を悪くしたこともあり、有り余るくらいの時間を療養のために病院や自宅でただやり過ごすだけの毎日を送った。前半期は時間を感じることなく、毎日がただ過ぎていき、後半期は逆に時間を使いきれずに漫然とやり過ごした。よく時間の感じ方は相対的ともいわれるけど、この相対的な強弱を20代で一度に体験したことで、30代からは毎日という中にでも、自分のための時間、仕事や家族などの人のための時間、それぞれをどう過ごせばいいのかをよく考えるようになったと思う。ただ、30代の中盤になっても、それにまだ答えは完全に出ていない。きっと、その答えを探し求め続けることこそが、人生を生きることの意味なんだと漠然と考えるのだ。

本作は、主人公が持つ、ある特殊能力をもとにして、時間や人生について考える映画になっている。さすが「ラブ・アクチュアリー」の監督なだけに、このあり得ないような物語設定でも、どこか辻褄を合ってくるオシャレな物語に仕上がっている。時間について、いろんな物語を紡ぎながら、それぞれの人生の分岐点での選択によって物語がコロコロ変化していくのみならず、選択した先にある時間そのものの意義まで捉えた映画というのはなかなかないと思う。特に終盤の出来は秀逸の一言。単なる人生の成功物語にとどまらず、成功に至るまでの酸いも甘いも含め、それが人生の喜びなのだと謳いあげてくれるのだ。いい映画は”明日の生きる活力”になってくれる作品なのだと信じているけど、近作で、この作品ほど、それが当てはまる作品はなかったかもしれない。

ただ、後半の父親べったりになる話の筋は、やや日本では受け入れられないように思う。日本らしい親子の在り方や、それに絡む死生観という部分と相いれないところがあり、如何にも生にしがみついているように思えてならないのだ。その部分がやや引っかかるところではあるけど、全体的にすごく秋映画らしい、オシャレな作品にもなっているでデートには最適なのではないかと思います。

次回レビュー予定は、「ジャージー・ボーイズ」です。

preload preload preload