10月 21

ジャージー・ボーイズ

「ジャージー・ボーイズ」を観ました。

評価:★★★★☆

まず、言いましょう。僕は本作を観終わって、その足でサウンドトラックを買いました。それくらい音楽が実にいい映画です。本作「ジャージー・ボーイズ」は、あの「シェリー」などの大ヒット曲を生み出したバンド、フォー・シーズンズの軌跡を描いた作品。映画の後に知ったのですが、作品のそもそもは同名のミュージカルになっていたものを映画化したのだとか。といってもミュージカルになるのは一シークエンスのみ(これがどこの場面かは観てのお楽しみ。このミュージカルシーンも最高!!)で、後は、歌をメインにした実録風の作品になっている。でも、登場するキャラクターがモノローグで語っていくシーンや回想シーンなどもうまく織り交ぜて、魅力たっぷりな映画に仕上げていると思います。

と書きつつ、やっぱり本作のメインは音楽でしょう。自身の監督作では、監督だけでなく出演や音楽も担当するマルチ爺さんなクリント・イーストウッドの才能を至るところに感じることができます(でも、本作は作曲というよりは監修がメインになっているように思いますが)。フォー・シーズンズが活躍したのは1960年代後半。1970年代からのディスコブームにかかる全盛期でもあり、ロックでありながら、1950年代の延長でもあるスウィング調やムード調な雰囲気も合体して、独特のサウンド感が盛り上がっていた時期でもありました。やはりいい音楽は、いい音響で聞ける映画館で観るに限ります。音楽に詳しくない人でも、CMとか、BGMとか、どこかで聞いたサウンドを楽しめ、その裏にあった人間ドラマを堪能することができます。

ただ、この映画の唯一の欠点は地味なことでしょうか。イーストウッド作品という知名度は、それこそ映画通な人しか知らないでしょうし、メイン公開されている割には特筆するようなスターが出ているわけでもありません。でも、極上なワインやコーヒーを味わうような、深い大人の味わいが楽しめる作品でもあります。今年(2014年)の秋映画は、先日レビューした「猿の惑星 新世紀」「アバウト・タイム」など良作ぞろいですが、この作品も、その1つになりそうです。

次回レビュー予定は、「テロ、ライブ」です。

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