12月 21

想いのこし

「想いのこし」を観ました。

評価:★★☆

昨年、「ツナグ」で死後の世界のコンタクトを描き、静かなヒットを飛ばした平川雄一郎監督作品。今度も、死後の世界と現世とを、ある意味”ツナぐ”人の話なので、観ていて二番煎じ感がどうしても否めませんでした。まだ、「ツナグ」のほうでは”死後の世界”という、現世を生きる人は知ることができない世界をミステリアスに描いていた分、ファンタジー要素が作品としていい味になっていたように思うのですが、本作は、その死後の世界をややリアルに描いている分だけ、映画全体に湿っぽさみたいなものが希薄化してしまったように思います。お話の作り方として、これもマイナス要素に働いてしまったように思います。

映画とは少し関係ないですが、今を生きる私たちにとって、あの世に旅立った人たちというのは凄く重要な存在なんだなと改めて思います。僕自身も生きていく中で辛いことがあったりもしますが、そのときふと想うのが、小学校の頃に入院していた小児病棟にいた子たちの顔。生きたくても生きられなかった子が、その中でもいて、昨日までは元気に遊んでいたのに、今日は集中治療室に入ってしまったりと、人生の不条理というのは、あのときに感じたいたように思います。その子たちの人生を背負うというのは大袈裟ですけど、その子たちが感じられなかったことを生きていく中で感じることが、残された者として大事にしないといけないのかなとふと思ったりします。

人を成長していく中で、肉親をはじめ、誰かの死に必ず遭遇します。人のいいところって、旅立った人たちのことを想いながら、常に自分を省みて生きれることだと思うのです。そうすることで、きっと今までの自分とはちょっと違った力が、(文字通り)憑(つ)いているのだと思います。パンチ力がいささか弱いのが残念ですが、こういうテーマの映画で、自分が想う人を想像してみると楽しいかもしれません。

次回レビュー予定は、「ゴーン・ガール」です。

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