6月 01

フォーカス

「フォーカス」を観ました。

評価:★★

世界の大富豪を巻き込む詐欺師映画。詐欺師の映画といえば過去何回も作られているけど、いつもポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード主演の「スティング」という名作を引き合いに出され、それを超えられないという批評が多いように思います。それでも、近作では「グリフターズ」や、色合いは少し違うけど「オーシャンズ11」など、詐欺師映画も捨てたもんじゃないという一軸を示した作品はなくはないかなという印象がしています。本作も、そんな詐欺師映画の1つ、詐欺師の華麗なテクニックと、それに纏わる恋愛事情みたいなものが描かれていきます。

僕は詐欺師の映画なら、あくまで詐欺師の映画にして、物語まで細かく観客を欺くようなことはしなくてもいいかなと思います。それでも詐欺がメインになるので、一人の人物にフォーカスして、その人物目線で詐欺られる(カモられる)ことで、最後の最後の大どんでん返しを楽しむというのが詐欺師映画の定番といえば定番。本作では誰がカモられるか、、、書いてしまうと筋がある程度分かってしまうので書きませんが、作品の前半部と、後半部で大きく2つの詐欺られるシークエンスが出てくるのです。ただ、僕は前半部はいいものの、後半部はすごく無理がある設定のような気がしてならなかった。”うぁー、そうなんだ”という驚きではなく、”えー、無理やり過ぎ”というのが正直な感想。この辺り、もう少しお話としてスマートにならなかったものなんですかね。

そういったラストのどんでん返しや、全体の詐欺場面とは違い、この映画にはウィル・スミス主演ということ以外の、お話としても、描く場面にしても、大きな華がないのも残念なところ。「スティング」のポール・ニューマンの愛くるしさや、「オーシャンズ11」のラスト、ベラージオ噴水前の何とも言えない味わいなどの、魅せるところが全くといっていいほどないのです。だから、観ている間はそれなりに楽しいものの、多分、今年の年末になったら、どんな類の映画であったかも忘れてしまってそうなくらいです。全体的にそつはない作りだけど、駄作であるより、このほうが映画にとっても致命的だと思うんですけどね。。

次回レビュー予定は、「トレヴィの泉で二度目の恋を」です。

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