6月 16

首都決戦

「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」を観ました。

評価:★★

昨年(2014年)の春から短編ミニシリーズが劇場限定公開され、盛り上がってきたところで(?)遂に公開された劇場実写版パトレイバー。僕は正直、この興業って失敗だったと思わざるを得ないのは気のせいでしょうか? 僕は結局ミニシリーズも含め、全作を劇場で観ましたが、1990年代に公開されたアニメシリーズを1ミリも超えることはなかったなと思います。まぁ、実写を作るにあたって、イングラムを実物大で作り、CGと合わせて動かしたというのは一定の評価ができるところなのかもしれません。実物イングラムも、実物ガンダムと同じくらい話題になりましたし、心無いイタズラ事件もあってワイドショー的なネタにされていたところもあって、話題性というのはとにかく振りまけたでしょう。ただ、それが映画のヒットにはつながりませんでしたが。。

今までのミニシリーズは抜きにして、単純に本作だけ取り上げたとしても高評価できるところは少ないかと思います。まず、脚本というか、話の組み立てがまずおかしい。話の前日譚としてあるのが、1993年に公開された「機動警察パトレイバー The Movie2」。ここでテロリストとして君臨した敵に対し、武力をもって制圧にはかるという独自路線で挑んだ後藤、南雲の両警部。事件の終結とともに、姿を消した両警部、、そして時代の移り変わりとともに部門整理の憂き目にあっている、特化車両隊の姿として本作が(というか、ミニシリーズも含め)始まっている。その数年前のテロ事件をなぞる形で、今回の事件も発生していくが、この映画が変なのは話の筋も、前日譚としてある物語に沿う形で進んでいくのだ。それなら「機動警察パトレイバー The Movie2」を実写化すればいいのではないだろうか。同じような話の筋で進んでいくので、前作でピンチになりそうなところへの事件の展開方法も、ほぼ同じ形で進んでいく。これだと、単純に過去の事件から何も学んでない、頭が悪い警察組織でしか思えない。前の事件はこうだったから、前もってこうしよう、、と学んでいくのが組織というものではないだろうか。この映画では、そうしたことが全く無視されているので、そもそも話の組み立て方が悪いとしか思えないのです。

と、頭が悪い脚本は目をつむるとしても、この話の背後にある無能な警察組織、防衛組織への対抗という筋の組み立ての仕方も、今見るとやや古臭い感は否めない。これが冷戦構造まっただ中とか、二大イデオロギーの対立とか、そういう時代なら分からなくもないが、今は日常茶飯事(というと語弊があるけど)にテロが起きてもおかしくない時代。テロに対する国家防衛も、警察組織もそれこそ二十年前に比べると格段に進化している。この辺りの時代錯誤感も、脚本の自己陶酔ぶりも、パトレイバーを実写でという意気込みにすごく逆行した形にしか捉えられないところがだいぶ残念なところです。

1990年~2000年代では強力だった押井守ブランドも、今の時代には徐々に合わなくなってきてるのですかね。これも時代の流れだとあきらめることもできるのですが、この映画の失敗を次の糧として、押井監督には新たな一面を魅せてもらいたいところです。

5月からの映画ストックが溜まり気味なので、溜まった時の手段:以前のものから1本、最近のものから1本という交互でレビューを上げていきます。次回レビュー予定は、近作から「予告犯」です。

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