7月 08

ひつじのショーン

「ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」を観ました。

評価:★★★★

「ウォレスとグルミット、危機一髪」など、”ウォレスとグルミット”シリーズをはじめとしたパペットアニメーションの老舗アードマンスタジオの最新作。僕は”ウォレスとグルミット”シリーズが大好きで、映画で公開されている何本かもスクリーンで観た覚えがあります。ただ、そのときは結構玄人が観るアニメ映画といった感じでしたが、今回は全国公開。おまけに劇場に入ったら、すごく小さい子どもの親子連れがわんさかいて、ちょっとビックリしました。よくよく調べてみると、この”ひつじのショーン”はNHK Eテレで放送されていて、子どもたちにもすごく人気の番組なんだとか。”ウォレスとグルミット”も民放(たしか、ポンキッキーズの中)で放映されていたのに、人気はあまり出なかったのに比べると、Eテレのパワーを改めて思い知らされました。

さて、そんな映画版「ひつじのショーン」ですが、テレビシリーズを知らない僕でも十二分に楽しめました。むしろ、「ウォレスとグルミット」よりも、こちらのほうが面白いかも、、と思わせるくらいです。まず、よく考えられているなーと思うのは、全編が無声(サイレント)映画であるという体裁をとっていること。もちろん、効果音や音楽は流れますが、映画本編に登場する人間のキャラクターも、会話は「XX%X&X’X(」(→文字化けではありません笑)と、抽象的にぼかしてあるくらい。この全編サイレントという演出が、本当に登場するキャラクターたちの動作のみで何を伝え、表現できるかということを、とことん考えて物語を構築していることに気づかされるのです。これは本当にすごい。ショーンや、その仲間たちの一挙手一投足、それこそパペットの造形から、どう動作させれば面白いと思ってもらえるのか、それこそ過去のアードマン作品で培ってきたノウハウみたいまものが作品にギュッと詰まっているように思うのです。

それとサイレントであるということが、それこそ言葉もまだあまり理解できない2、3歳児の子どもたちの心を鷲づかみにしているのです。僕も、子ども向け映画を時たま観たりするのですが、それこそディズニーであろうか、ドラえもんであろうが、小さい子にとってはつまらなくなるところもあり、上映中なのに周りを気にせず、他事を話したり、グズったりするもんですが、本作は結構な数いた子どもたちで、そういう子は最後まで一人もいなかった。もちろん、笑ったり、○○が△△してる、、とかいうくらいの声はあったものの、観ている子どもたちは集中力を切らさず、100%スクリーンにかぶりついていました。これはすごい。サイレント映画なので、かぶりつきで見ないと物語を追えないということもあるでしょうが、ここまで観客を惹きつける力のある映画は久々に観たように思います。

それに一緒にいった大人たちもかぶりつきで楽しめます。それこそキャラクターたちも可愛いし、アードマン作品らしい洒落たセンスをも感じます。お子さん連れはもちろん、カップルなど大人たちだけでも楽しめる作品に仕上がっていると思います。下の予告編を観て、面白そうだなと思ったら、是非劇場に足を運んでみてください。

次回レビュー予定は、「百日紅 MissHOKUSAI」です。

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