7月 07

脳内ポイズンベリー

「脳内ポイズンベリー」を観ました。

評価:★★

「失恋ショコラティエ」の水城せとなが2010年に発表した同名コミックを、「キサラギ」の佐藤祐市が映画化した作品。予告編を観たときから、脳内のそれぞれの感情のやり取りが「キサラギ」っぽいなということを感じていたので、佐藤監督作品だったというのが後付けで少ししっくりとした感じを受けました。「キサラギ」が一つの事件を巡る密室劇だったのに対し、今回は脳内というところで密室というのが少し定義されているくらいなのと、主人公・いちこは普通に街中を歩いている女性なので、密室感はそれほどなく、密室劇らしい台詞だけで、いろんな物語を想像させるパワーみたいなものには欠ける印象を受けます。そもそも、脳内での各感情のやり取りというのが、いちこ自身の物語とうまく連動して見えなったのは気のせいでしょうか。。

それでも本作は、いちこ自身の恋物語というところを考えると、それだけでキュートな物語設定ができていると思います。主人公・いちこを演じる真木よう子がキュートなキャラクターを熱演できていることに尽きるのではないでしょうか。ラブロマンスという観点でいくと、早乙女と越智という二人の男性の間で結構右往左往するので、ストーリー的にはいびつ感はぬぐえませんが、これも真木よう子のキュートなキャラ設定と、女性漫画タッチな舞台設定をうまく盛り上げているところで乗り切っていると思います。

ただ、残念なのはやはり脳内の会議というのが、実際の物語とすごくかけ離れてしまっているように感じるところでしょう。人の恋し、惹かれあう感情なんて、ちょっとしたことで移ろいゆくものなのに対し、こうして行動していこうという意思を決めるというところを脳内のキャラクターたちが引っ張っていけば、右往左往してしまう恋心にも若干共感は持てたように思いますが、これがうまく連携しきれていないので、各キャラクターがすごくワガママな人たちという印象しか残らないように思います。奇しくもピクサーが同じ脳内の感情たちと一人の少女の成長物語に関して、一作投じるので(アニメですが、、、題名「インサイドヘッド」)、本作とどのような比較ができるかが、別の意味で楽しみだったりします。

次回レビュー予定は、「ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」です。

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