9月 10

ナイトクローラー

「ナイトクローラー」を観ました。

評価:★★★☆

「ボーン・レガシー」で脚本を務めたダン・ギルロイが、監督として初メガホンを取った本作。夜の闇夜に紛れ、事件現場に一番にたどり着き、視聴者が喜ぶような衝撃の映像を撮るフリーのパパラッチを主人公にしたお話。主演は「ミッション8ミニッツ」、「ブロークバック・マウンテン」などの作品で知られるジェイク・ギレンホール。最近の彼は大作というより、比較的小規模な作品に出ることが多い印象ですが、彼の悪っぽさ(悪役とは言いきれない)をスクリーンで観たのは初めてな気がします。

一昔前までは暗号を語っているような警察無線のやり取りも、ネットが普及した今、素人でもどんな事件が巷で起きているかが、すぐにわかってしまう時代。その中でも、事故や事件の悲惨な映像に注目が集まる大衆心理は今も昔も変わりはない。そうした映像媒体が放送局によって高価に買い取られることを知ったジェイク演じる主人公ルイスは、他のフリーのパパラッチを見よう見まねでフリーランスとしての活動を始めていく。次第に、どんな映像が高価にさばけるかのコツを掴んだ彼は、いち早く事件現場にたどり着き、衝撃的な映像を撮ることに成功していく。しかし、行動はエスカレートし、警察より先にある事件現場に到着した彼は、驚くような行動を取りはじめる。。

ニュース映像というのは、事件なり事故なり、事実をカメラに押さえるのが基本。しかし、映像をメディア媒体の1つと考えたとき、その映像から視聴者にどういう物語を語ることができるのかということを放送側は憂慮する。それはさもすると報道という枠を飛び越え、映像媒体自体に集客力があればいいという、エンターテイメントに変わってしまう。最初からエンターテイメントとしてつくられるメディアとは違い、ニュースを加工して、あたかもストーリーがあるように作られるというのは観る者を欺くことに他ならない。ましてや悲劇的であるほどいいというメディア製作側の暴走は、事件被害者にとって悪害にもなってくる。当たり前だけど、そうしたメディアの暴走が良からぬことを生むという現実を、この映画はすごく楽しく(あくまで映画作品としてですが、、)伝えているように思います。

個人的に面白いなと思ったのは、この手の映画はメディア側の暴走ということに話のオチを持っていきやすいんですが、あくまで職人のごとく腕を上げていくルーの冷静な狂気っぷりに焦点をあてていることでしょう。これにより、ラストのオチも当たり前に落ち着かなかったのは、逆に恐ろしさを感じてしまうような結末になっていると思います。ただ、もう少しルイスの狂気っぷりが、大きな事件として発展するという展開にならなかったのが少し物足りないところ。ジェイク自身も凄く突っ走った演技をしているのに、それを発揮するようなシーンが足りなかったように思います。事件の顛末を描くところも何だかあっさりしているので、ここにもう少ししつこさがあれば、作品として映えたように思うのです。

次回レビュー予定は、「トイレのピエタ」です。

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