11月 17

ラブ&マーシー

「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」を観ました。

評価:★★☆

1960年代を代表するロックバンド、ビーチボーイズ。その中心的な存在でもあるブライアン・ウィルソンの半生を、彼らがヒットした1960年代と、1980年代の2つの時代をまたいで描く意欲作。1960年代の大ヒット絶頂期にあるウィルソンを演じるのは、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・ダノ、1980年代の落ちぶれた時期を演じるのは、「ハイ・フィデリティ」のジョン・キューザック。監督は、「それでも夜は明ける」などで製作を務めたビル・ボーラッドが初監督として担当しています。

日本で夏のバンドといえばTUBEでしょうが、洋楽でと言われたら、未だにビーチボーイズではないでしょうか。僕も夏の時期の車で聞く洋楽コレクションでは、ビーチボーイズの「California Girl」や「Kokomo」、「Fun,Fun,Fun」などのナンバーは手放せません。でも、ビートルズと違って、ビーチボーイズのヒットした時期というのは1960年代の限定した時期といった印象。大ヒットナンバーを生み出したブライアンが、なぜビーチボーイズの前面に出てこなくなったのかとか、ファンなら知っていることを一般周知してくれる意味でも本作は意義があるのかなと思います。

映画もビーチボーイズの名曲には彩られているものの、1980年の現代を生きるウィルソンの苦悩を、1960年代のいろいろな出来事にフラッシュバックして描く手法はいささか切れ味のなさを感じてしまいます。それも、ジョン・キューザック演じるウィルソンが抱える現時点(1980年代時点)の物語があまりに重苦しいものになっていて、過去のビーチボーイズの威光みたいなものに影を指すものになっていること。過去は過去、現代は現代と割りきった描き方をすればテンポも出るのでしょうが、本作に関しては、この現代の物語がすごく足かせになっているように思えてなりません。

それでも1960年代の空気感を、まるでそのときのような情景で描く手法はなかなか見応えがあります。音楽も最高なので、夏の時期に見る作品としては十分に及第点はクリアしていると思います。

次回レビュー予定は、「五つ星ツーリスト THE MOVIE」です。

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