11月 29

機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅱ

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅱ 哀しみのアルテイシア」を観ました。

評価:★☆

アニメシリーズ「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインを務めた安彦良和の同名コミックを映像化した作品、4部作シリーズの第2弾。劇場公開に併せて、関連グッズなり、作品を収めたBlue-rayも既に発売されており、劇場公開というのがあくまで限定的なもの(期間も2週間)ということが分かります。僕は安彦先生の原作コミックも好きで、前作も劇場まで足を伸ばしたほど(さすがにグッズを買い込むほどのファンではないですけど、、)。2週間の限定公開ということもあり、前作もそうでしたが、今回の作品も観たシネコンの一番大きなスクリーンでもほぼ満席という盛況ぶりでした。

さて、このシリーズは原作コミックの中でも、特に”赤い流星”シャアの誕生秘話というところに焦点が当たった構成になっています。前作では、回顧録という形でスタートする前段として、シャア専用ザクの赤い姿がスクリーンいっぱいに表現されるだけで鳥肌モノでしたが、今回の作品はそういう見せ場的なものは存在せずに、簡単に前作を振り返ってからの、今回の物語に入っていくというオープニングになっています。今回は副題にアルテイシアと付いているように、後のシャアとなるキャスバルの妹・アルテイシアを軸に据えるような形で物語が進んでいきます。僕がまず気になったのは、前作のシリーズ俯瞰したような構成からキャスバルにフォーカスし、今回はアルテイシア目線で進めるという、この構成。確かにキャラクターをメインに据えるというやり方もなくはないですが、その他のキャラクターの味が少し薄まっているように感じてなりませんでした。例えば、今回2人の兄妹を匿うことになったテアボロや、ザビ家にジオンを乗っ取られ、粛々と生きることを余儀なくされたラル家の衰退など、盛り上げるべきサブエピソードがどう見ても小さくなってしまったように思えてなりません(描かれないわけではないのですが、、)。

それにアルテイシアのあまりにキャスバルを想う気持ちが強すぎるのもどうかと、何度も”キャルバル兄さん”と叫ぶセリフが耳から離れず、こうした偏った兄妹愛の在り方(無論、父親は暗殺、母親も失意のうちになくなるという不幸はあるものの)というのもどうかと思います。それに次作で描かれるのかもしれないですが、後にザクとなっていくジオンのモビルスーツ実験も、今回もうちょっと枠をとって描いて欲しかった。これはアムロの父親やミノフスキー博士のことも含め、次作でしっかり描かれることを期待したいところです。

今回厳し目な評価をしたのも、これも物語としての期待あってのこと。今回の予告で、THE ORIGINのガンダム本編もシリーズ化しそうな雰囲気も醸し出してきたので、次作以降も期待で+☆をしたところです。

次回レビュー予定は、「ヒロイン失格」です。

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