3月 30

機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅰ

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅰ 青い瞳のキャスバル」を観ました。

評価:★★★☆

1979年にテレビ公開された「機動戦士ガンダム」の作画監督を務めた安彦良和による原作コミック「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を、4部作でアニメ化した作品の第1部。本作は映画化というより、アニメ化が主軸にあって、劇場公開も限定(全国12劇場の2週間限定)となっているので、映画作品と腰を据えて見るジャンルの作品ではないのかとも思います(上映時間も1時間ほど)。ところがこんなに限定公開なのに、全国的に結構盛況なのだとか。僕が観たのも日曜の朝一番の回でしたが、シネコンの中で一番大きなスクリーンにも関わらず、全シートの7~8割が埋まっている感じでした。ここまでの熱気を見ると、未だにガンダムというネームバリューの凄さというのには驚かされます。

僕は、「機動戦士ガンダム」の公開年(この年はアニメの当たり年で、「ドラえもん」の初回放映も1979年)に産れているので、実際にガンダムをテレビで見たのは再々×2放送くらいなのでしょう。子どもが熱狂する夕方5時(子どもゴールデンタイム)代に放送されていて、ガンプラ、BBガンダムが流行っていた僕らの世代なら必ず観ていたと思います。でも、ニュータイプの変遷とか、ガンダムの深い話のところに触れたのは、この安彦良和の「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を数年前にコミックで読んで初めて理解できたところでもあります。このシリーズは「機動戦士ガンダム」がどちらかというと戦争の表層しか追っていないのに対し、「THE ORIGIN」は戦いの果てに散っていく一兵士やコロニー市民の描き方も細かくなっていて、宇宙戦争という大きな中でも、様々な人間模様を浮き上がらせた戦争物語としても随一の作品になっていると思います。

今回の作品は、その中でもシリーズの見所になっているシャアの生誕に関する物語を描いています。原作ではあくまで「機動戦士ガンダム」の物語に沿った中で、シリーズ中盤の回想シリーズとして位置づけられている話になります。僕は原作を読んだときでも、このシャアの物語は特に読み入ったし、終盤では軽い衝撃すら覚えました(残念ながら、本作はその前で終わっています)が、この深い物語が裏であったと思うと、逆に「機動戦士ガンダム」本編のほうの味わいのすごく深くなってきます。「機動戦士Zガンダム」の劇場版では古いセルと新しいセルの組み合わせたリバイバル方法が異様に映ってしまいましたが、本作は全てリブートなので、新しいセルでキャラクターの鮮明な造形(モビルスーツ(といっても、今回は初期ガンタンクしかでないけど)や戦艦)美も楽しめることができます。

本作はあくまで導入編に過ぎなく、深いお話になっていくのは次作以降。原作を読む限り、物語的には深く、オペラ的な描き方も可能なので、次作以降にどうやって盛り上げていくかが楽しみでもあります。シリーズとしてはザクなどのモビルスーツが出て上がっていく様や、ニュータイプのお話にも切り込んでいくようなので、今回のような限定公開ではなく、次作以降はもっと拡大公開して、多くの人に見てもらいたいなと思います。

次回レビュー予定は、「イントゥ・ザ・ウッズ」です。

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