12月 01

ヴィジット

「ヴィジット」を観ました。

評価:★★★

「シックス・センス」で世界を震撼させたM・ナイト・シャマラン監督。その後の作品は良作は出るものの、何かパシッとした作風が決まらず、この人は一体どこへ行くのだろうというヤキモキした感じを拭えません。そして、ひっそりと公開される本作は、久々に「シックス・センス」ばりのラストのサプライズを見事に決めた作品になっています。これだけを見れば、単純に「シックス・センス」以来とも宣伝文句をつけれたりするのでしょうが、「ハプニング」や「レディ・イン・ザ・ウォーター」で見せた、この世のものとは思えない超常現象ぶりは逆に影を潜めるという、、やっぱり、この人はどこへ行きたいんだろうと再び悩んでしまう作品になっています(笑)。

休暇を利用して、祖父母の住むペンシルベニア州のメイソンビルに旅立つ一組の姉弟。シングルマザーの手によって育てられた姉弟にとって、この旅は実は初めての祖父母との対面。山深い田舎の中で育った母親は、勘当同然で家を出てきたためだった。姉弟の希望でなくなく、母親は祖父母と会うことを許すが、母親はまだわだかまりがあり、姉弟のみでの対面となる。最初は優しい祖父母たちに甘える姉弟だったが、次第に彼らの奇妙な行動に違和感を感じてくるのだった。。

あまり書いてしまうと、ラストのネタバレ感動が薄れるので書かないでおきますが、姉弟と祖父母との対面ドラマを姉が撮るビデオカメラの映像と、通常のドラマ進行用の固定カメラ、そして、母親とビデオチャットをするPCのカメラと、劇中の様々なカメラの映像を行き来させることが、ある”モノ”が写っていない、、という細かい芸当を成功させ、それがラストのサプライズにうまく結びついているのです(これは注視してないと分からないですけど、、)。ホラー映画の一分野を築いた「パラノーマル・アクティビティ」をプロデュースした製作陣が入っているのも、この効果をうまく成立させた要因といったところでしょう。分野的には恐ろしい描写もあるのでホラーなんですが、ラストの味わいがすごく爽やかなのも、同時に奇々怪々な行動をする祖父母の原因を探るサスペンスという要素が上手く入っているからだと思います。

ただ、映画的によくできているといっても、作品の規模感がすごく小さくまとまってしまっています。インディーズ映画っぽい味をよく出しているといえばそれまでですが、シャマラン監督は、この枠で勝負していくんでしょうかね。。

次回レビュー予定は、「心が叫びたがっているんだ。」です。

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