12月 12

バクマン。

「バクマン。」を観ました。

評価:★★★★★

「DATH NOTE デスノート」で知られる原作者(大場つぐみ&小畑健)の同名コミックを、「モテキ」の大根仁監督が映画化した作品。「モテキ」もラブコメディ映画としては新鮮な視点が溢れた意欲作品でしたが、本作は映画の新しいスタイルを確立したのではないかという革新的な青春映画になっていると思います。原作自体がコミックを舞台にしていて、そのコミックが取り上げているのも漫画家という劇中劇ならぬ、コミック中コミックみたいな作品なのですが、だったら全体的な雰囲気もコミック化にしようとしているところが新鮮。こんなの通常はいないだろうと思えるキャラクターも、とことんデフォルメ化することで、漫画感をリアルに映像にしているところがなかなかだと思います。演出もところん漫画風。映画を見ていても、まるで映像化されたコミックを読んでいるような面白さを味わうことができるのです。

それに本作(これは原作の持ち味かもしれないですが)が持っている良さというのが、漫画家がリアルな漫画家像を描いているところでしょう。この手で有名なのが、多くの漫画家を排出し、その排出された漫画家の手で書かれた「トキワ荘物語」。でも、これはまさに昭和を地で行く、売れない、けど漫画を愛する漫画家たちが集う場を描いた作品でした。本作も、漫画家同士がタッグを組んで協力していくシーンがあるのですが、そういう昭和感を出すのは一部のみ。昭和の後半から売れ始めているといっても、まさに平成の世でも漫画の王道を行っている「週刊少年ジャンプ」を目指す若い漫画たちを描いているので、今の世代の漫画道を画いた作品ともいえるかもしれません。

あと、作画がストーリー原案が分かれている漫画家像の実体を垣間見えるのも、知らない世界を覗き見れたようで楽しい。これは原作の漫画を書いた2人(大場つぐみ:原作、小畑健:作画)の構成をリアルに出しているものと思います。あと、亀梨和也のはじけっぷりがいいですね。神木隆之介のほうは本作の役柄がなんとなく「桐島、部活やめるってよ」に何となく似ているので新鮮味が無いですが、どちらかといえば俳優というよりも、アイドル色が強かった亀梨くんが本作では、カッコよさではなく、ダサさな中に秘めるカッコよさがある真城最高(→これもすごい名前だな笑)を好演していると思います。とことん隅から隅まで漫画愛に溢れた映像作品。これは今年の邦画の中でも必見な作品になっています。

次回レビュー予定は、「シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人」です。

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