12月 30

誰も待ってないと思いますが、お待たせしました「2012年の私視点劇場ベスト10」を書きたいと思います。

今年からキネマ旬報さんのKINE NOTEに一年間一言映画レビューを書いてきました。映画感想はHPやブログ等々やってきましたけど、随分規模も縮小したもんです(笑)。まあ、それはそれで、より多くの映画を見るようになったということで許してくださいw

今年は174本の映画と劇場で出会うことができました。各作品の評価点5〜4.5点を付けたものの中から、洋画・邦画でそれぞれベスト10を選びたいと思います。

【洋画部門】
1位 ハロー!?ゴースト

映画とは笑って、泣いて、心がほんわかして、明日を元気にしてくれるものだ。ここに映画の全てがあると思う。韓国映画はここ2、3年縁遠くなりつつあるけど、これは是非観て欲しい作品。掛け値なく脱帽もんです。

2位 裏切りのサーカス

これもいろんなところでベストに入ってくるスパイ映画の傑作。小説をそのまま映像にしたような緻密さに圧倒される。これだけ濃密ながらも上映時間が比較的短いのも高評価。

3位 ヤング≒アダルト

アラフォーながらも仕事も、恋愛もうまくいかない痛い女をシャーリーズ・セロンが熱演。こんな女性いるよなーと思いながらも、ペシミスティック過ぎないバランス感覚がよい。

4位 最強のふたり

これもいろんなところで話題になっている単館系では今年文字通り最強のヒットをした作品。人種も、身分も、障害も関係なく、つながれる人は自然とつながるんだなという人の絆を感じる作品。2011年の東京国際映画祭グランプリ作品。

5位 桃(タオ)さんの幸せ

人は老いるが、それでも残るものがある。そんな人の優しさに触れることができる作品。人の背中で演技させるという上手さも感じた。

6位 眠れぬ夜の仕事図鑑

夜のお仕事をタペストリー風に切り取ったドキュメンタリー映画だけど、単純な映像の中にもいろんなドラマがありそう。そういうことをいろいろ想像しながら楽しめる。アートさも感じるのはフランス映画ならでは。

7位 BORN TO BE WILD 3D 野生に生きる

ベスト10に入った唯一の3D映画はドキュメンタリー。IMAXならではの情報量をふんだんに使った迫力ある映像は凄かった。BlueRay3Dだとどう見えるのか分からないけど、機会があったらぜひ観て欲しい。

8位 昼下がり、ローマの恋

恋が文化といえる国、イタリア発のお洒落な映画。イタリアのラブロマンスやラブコメディとか、もっと日本でやって欲しいなと思う。恋って、素晴らしい。

9位 ミッドナイト・イン・パリ

アレン映画の中では近年最高のヒット作となった作品。大作感、、てほどはないけど、アレン映画としては結構力が入った演出が見られる。パリという街が魅惑の都市に見えるのもGood。

10位 ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して

DVD直行にならなかったこと、この映画に出会えたことが素直に嬉しいと思えた作品。映画の中の鳥マニアに限らず、何かにオタクっぽくなっている人を優しく幸せが包み込むといういい映画。笑えるところもあるし、ホンワカできるところもよい。

続いて、邦画部門へ

【邦画部門】
1位 わが母の記

井上靖の自伝小説を映画化した作品。まぁ、よく喋る映画だけど、それが各キャラクターの深い味わいとして感じられる作品。家族の中での時のうつろいを静かな視点で描いている。樹木希林は本当に上手い。

2位 桐島、部活やめるってよ

中学や高校の頃をひしひしと感じる作品。学校という狭い社会に、いろんな個性の人間が集まってドラマを生み出す。それぞれが本当に大したことない人間なのに、なんであんなに右往左往するんだろ。僕も学生の時は窮屈に感じたもんだけど、今思えば懐かしさと郷愁さえ感じてしまう意欲作。

3位 鍵泥棒のメソッド

映画は笑って、泣いて、明日を元気にしてくれるものだという僕のポリシーを純粋に実現してくれている邦画はこれ。内田監督は本当にこの手の作品が上手い。広末涼子がスクリーンで輝いて見えたのも久しぶりw

4位 ALWAY’S 三丁目の夕日’64

泣くまい泣くまいと思っていながらも号泣させられた作品。血の繋がった家族だけではなく、そこに住むみんなが家族みたいな世界って、今また改めて必要なのかもしれない。

5位 キツツキと雨

ボケだけで押し通している作品ともいえなくもないけど(笑)、その中に活き活きと生きるにはという大事なテーマが潜んでいるのだ。「南極料理人」もそうだったけど、沖田監督のこのひねくれたようなモノの見方が僕は好きだ。僕が生まれ育った岐阜を舞台にしているのも高評価ポイント!

6位 僕達急行 A列車で行こう

「キツツキと雨」がボケの映画なら、この作品は全編が”変”な映画だ。しかし、この電車オタクの一風変わったモノの見方から、夢物語や恋物語を紡ぎだすのだからそれはそれで凄い。森田監督の全盛期でもある「家族ゲーム」の不思議な味わいを、彼の遺作で見事に感じられるというのも因縁めいている。

7位 毎日がアルツハイマー
アルツハイマー症にかかっていく母を優しく、あっけらかんと笑い飛ばす勢いで撮っているドキュメンタリー作品。邦画では9位にランクした、もう一つ話題の「エンディング・ノート」という傑作もあるけど、明るく生きるというところにこだわったこの作品を僕はあえて上位にする。監督の反骨オバちゃん精神にアッパレ!!

8位 ミツコ感覚
5位の「キツツキと雨」がボケ映画、6位の「僕達急行」が変映画なら、この「ミツコ感覚」は”不思議”映画だ(笑)。ここに登場する人物は変を通り越して、まさに新感覚・新生代・破天荒極まりない人物だらけ、それでも一つの作品にすっぽりと納めてしまうというのは、もはや映画という枠をはみ出したパンク作品といってもいいかも。

9位 エンディング・ノート

公開と同時にいろんなところで取り上げられ、死を前に綴るエンディングノート作りも流行らせた作品。一人の男の死、そして彼が死と向き合いながらも生きていくことを最大限努力していく道筋をカメラは優しく捉えていく。死という贖えない結論が見えていながらも、やはり涙してしまう力入ったドキュメンタリー作品。

10位 おおかみこどもの雨と雪

エヴァを見ない僕にとって(笑)、洋画・邦画通じて、唯一ランクインしたアニメ映画。人の成長や巣立ちというのもドラマとしては十分泣ける要素満載で、観ていてもセコいなと感じる部分はあったけど、やっぱりいろんなことを感じるいい作品。田舎の味わいも、どこか見た風景を上手く絵に起こしているのも高評価ポイント。

こうして見てみると、洋画・邦画共に、今年はドキュメンタリー作品が上位になる傾向が強かったかなと思います。ドキュメンタリーはそのまま撮ってしまうと、どうしてもテレビのニュース特集みたいな胡散臭いものになりがちなんで、作品としてどう映像化、シナリオ化していくかがポイントなんです。その意見で、今年は高評価できる作品が多かった。

来年も素晴らしい作品と映画館で出会いたい一年にしたいと思います。

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