1月 29

今、リンダ・グラッドンの「ワーク・シフト」を読んでいるんですが、関連した面白い記事を見つけたので紹介(「ワーク・シフト」はいずれ書評するけど、働き方を考えるすごく良い本です)。


Picasso, Kepler, and the Benefits of Being an Expert Generalist
by Art Markman

このArt Markmanという人は認知学者なのですが、従来のジェネラリストとは違う、エキスパート・ジェネラリストというものを定義しています。

ジェネラリストというと、専門性の高いスペシャリストの対となり、様々な分野に卓越していてソリューションを作ったり、マネジメントをする人というのが一般的でした。以前、Blogで「日本でジョブズが生まれない理由」という中で、日本をはじめとしたアジア圏ではHowからWhatへアプローチするのがうまいと書きましたが、それはそれぞれが高い専門性を持ちうる民族なのではないかと思うところが大きかったからです。でも、特にIT化が進んだ1990年代頃から、専門性だけではなく、幅広い視座に立てるジェネラリストの育成が急務と言われた時期もあります。それはやはりグローバルに世の中が動く中で、”1つ1つのモノ(モジュール)”ではなく、”全体のシステム”というシステムアプローチ視点に時代が変わっていったことが大きいと思うのです。

でも、今はグローバル+コスト低減も同時に起きて、単純なシステムは全て単価が安く構築できてしまっている(これがクラウド+アウトソース)。だから、時代はスペシャリスト指向に戻りつつあって、本当に手に職をつけないと生き残っていけないのです。これは中身は違うけど、中世のギルド制度みたいですよね。

それともう1つ「ワーク・シフト」の中で述べられているのが、”創造的な仕事”をする人も必要とされるということ。これが僕はジェネラリストの次の形、Markmanのいう”エキスパート・ジェネラリスト”ではないかと思うのです。

考えれば、いくら専門性が深まっていくとはいいつつも、システム設計のコストがどんどん下がろうとも、システム全体を設計する人は必要。ただ、従来のジェネラリストのように全体を設計・管理するだけでなく、そこに如何に”創造性”を出せるかということ。Markmanもピカソやケプラーの例を持ち出していますが、異なる分野を横断的にというよりは、全く異種である分野を結合的できるような発想力がエキスパート・ジェネラリストには求められるのかと思います。

創造力(アイディアを創発する)、企画力(実行プランを計画する)、実行力(実行する)、これがエキスパート・ジェネラリストの重要な三本柱。記事では創造力をつけるには、Openness to Experience(何事も経験すること)の必要性が説かれていますが、何事も文句を言わずやってみろ、感じてみろ、、というのが、創造力を身につける一番の近道ですよね。

関連記事: ぐだぐだ悩むのは時間の無駄だから、さっさと決めて先に進め:世渡りプロトコル:So-netブログ
関連記事: 完成させることがすべてだ!~DIYに学ぶ「スキル修得との向き合い方」 : ライフハッカー[日本版]

<追記>
LifeHackerに上記記事の日本語紹介がされていました。
: ひとつの専門性を極めるより幅広い知識があるほうが創造的になれる? : ライフハッカー[日本版]

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