2月 19

ライフ・オブ・パイ

「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」を観ました。

評価:★★☆
(★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高で、★が最低)

IMAX3Dの字幕版にて。

ヤン・マーテルの同名小説の映画化作品なんですが、まずこの物語を映画化すると聞いたときは、一体どうやるんだろうというのが最初の印象でした。トラとの過酷なサバイバル劇。それはし烈なようで、でも映像にしてしまうととても単調だと思う。こんな難しい作品を誰が映像化するんだろうと思ったら、「ブロークバック・マウンテン」のアン・リーと聞いて、お得意な文芸調に仕立ててくれると安心しました。

が、本編を見ると少し微妙なデキ。確かに映像は凄い。CGとは分かっていながら、トラや動物たちの映像描写力は凄い(何気に動物たちがいろいろ登場するオープニングが、僕は一番好き)。特に、終盤に訪れるクジラとクラゲのダイナミックな描写はIMAXのスクリーンによく映える。でも、そういう迫力ある映像を紡ぐ、物語の力が非常に弱い。主人公パイの回想劇として進むスタイルはいいが、嵐に遭遇するまでがモタモタするし、トラと対峙した227日も思ったりあっさり終わってしまい拍子抜け。確かに、トラとシンパシーを感じたり、あっさり終わってしまう虚しさという意味では味わい深く感じれるところもあるが、ドラマ部分の弱さは否めないと思う。

CGは確かに困難と思えた物語を凄く進化させた。でも、それはあくまで道具に過ぎなくて、人にどう迫るかはやはりどう物語るかに尽きると思う。同じ漂流記という意味ではトム・ハンクスの「キャスト・アウェイ」が何倍もいいし、同じCGを使う動物劇でも昨年の「だれもがクジラを愛している」のほうがうまく映画のエッセンスとしていると感じた。技術が進化しても、映画の面白さはやはりそこにあるのだ。

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