6月 12

きっと、うまくいく

「きっと、うまくいく」を観ました。

評価:★★★★★
(★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高で、★が最低)

一昔前、インド映画が少しブームになった時期(「ムトゥ 踊るマハラジャ」などが日本に紹介された頃)があったけど、正直僕はインド映画が苦手だった。物語の途中にミュージカル調になるのは、ミュージカル映画が好きということもあってOKなんだけど、物語自体が有り得ない展開で、しかも安っぽく作られてしまうことが、観ていてとても腹立たしくなってくるのだ(昨年の「ロボット」とかもそう)。でも、インド映画自体はパワフルだし、一映画ファンとしてもどこか見逃せない位置づけであるのも事実なのだ。

といった前置きを置いたうえで、巷の噂を聞いて見にいったのが、本作「きっと、うまくいく」。僕はこの映画でインド映画の印象が180度変わったといってもいい。とてつもなくいいのだ。やや安直にストーリーラインは描かれているものの、物語の作り方に安っぽさは全くない。重厚かつ伏線の作り方が絶妙なのだ。そこにきて、ミュージカルシーンでの映像の面白さ、煌びやかさはインド映画そのもののパワフルさが溢れる。キャラクターの魅力もいっぱいで、心をつかんで離さない。まさにエンターテイメントはこれだと思わせる作品なのだ。

物語自体は難関といわれているエリート大学に入ってきた同窓生たちを中心に展開する。その中の一人、天才肌ながらも人間味溢れるランチョーという男が何者なのかというのが、大学時代の回想と現代の物語とをブリッジしていく形で進んでいく。あらすじだけ追うと、ラストの展開は安易に想像できななくはないが、バームクーヘンのようにエピソードを一枚一枚しっかりつくっているので作品としての味わいは満点。撮影時40歳ながら、20代の役も軽妙にこなしたアーミル・カーンをはじめ、各役者の一級の演技力にも脱帽。何より、登場人物視点でハラハラドキドキした物語を十二分に堪能できる。

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