7月 09

真夏の方程式

「真夏の方程式」を観ました。

評価:★★★★☆
(★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高で、★が最低)

天才物理学者・湯川学が活躍するガリレオシリーズ劇場作品第2弾。一応シリーズものではあるが、ガリレオというシリーズ名がついていないように、この作品単体でも楽しめるような工夫がしてある。近年、一定の観客数を確保するために、どうしてもテレビのシリーズものの続編や完結作というのが劇場作品になることが多いけど、テレビシリーズを観ていなくても楽しめる工夫をすることが映画ファンの間口を拡げるためには結構重要だと思う。この作品はその意味では単体で観ても、十分な面白さがある作品になっている。

前作「容疑者Xの献身」でもそうだったけど、基本は物理学者である主人公・湯川学がその天才的な頭脳と直感で事件を解決するという科学ミステリーが主軸。でも、犯人・被害者の双方の立場に立って人間として寄りそうことを忘れないヒューマンドラマを基調としているのが、いい味わいを醸し出しているのです。前作はある一家を守るために自ら犯罪に手を染める男を、本作では過去の哀しい事件の秘密を守るためにある一家が取った行動に焦点があたっています。事件そのものはそれなりに湿っぽいものではあるのだけど、湯川学やその周辺の人々のコミカルな描き方でさっぱり感をうまく引き出しているので、事件の暗さと絶妙なバランスが取れている。それに前作は雪山、本作は美しい真夏の海を背景にしたことの舞台効果がすごくいいと思うのだ。

どこまでも青く美しい海と、夏の空気を堪能するためにも、多くの人に劇場で観て欲しい会心作だ。

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