10月 15

またかな

「「また、必ず会おう」と誰もが言った。」を観ました。

評価:★★★☆

とっても長い名前の作品だけど、僕の大好きな古厩監督作品で、異色の喜多川泰の原作小説を映像化した作品というところで期待していた作品でした。特に、喜多川泰の小説というのは小説の様で小説でない、ビジネススキル本ならぬライフスキル本のような形の作品が多く、味わい深いんだけどなかなか映像化が難しいんじゃないかと思える作品ばかりなのです(「君と会えたから」は名作だと思ってますが)。多分、話の筋だけ単純に映像化したらそれこそ薄っぺらいライトノベルのような作品になってしまいそうで怖いのですが、古厩監督はそんな難しい原作を落ち着いた感じの作品にしています。

始まり方が少し唐突な感じも受けますが、実際の私たちの周りに取り巻くドラマなんていつも唐突に始まるもの。何でもない日常の中に起こる思い通りにいかない葛藤が、そのまま大きなドラマの始まりになってくるのです。主人公の和也も何気ない高校生だったのが、ほんの些細な見栄のせいで(おかげで)様々な人との出会いの旅に出ることになる。そこで出会う様々な人々は不甲斐ない大人の世界を、不甲斐ない自分と向き合いながら必死に生きている。空虚な高校生活の中で、表面だけ繕っていた和也の内面を徐々に変えていくことになる。

全編通して、スマートな作り方になっていないけど、それが逆に人間らしい味わいとして心に響いてくる。人は周りに生かされているのだけど、自分の生き場所を見つけることが人生を生きるということになる。それは大人も子どもも変わらない、生きるということの使命なのかもしれない。

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