12月 04

清須会議

「清須会議」を観ました。

評価:★★★

三谷幸喜の2013年の新作は、信長亡き後の織田家の跡継ぎ争いを描いた内幕劇。歴史上でも、信長の主要家臣であったはずの柴田勝家が秀吉との織田家後見争いに負け、日本の歴史の主要キープレーヤーから外れ、その後に秀吉によって滅ぼされる運命をたどる。多分、今までの歴史の教科書では、この織田家の跡目争いは一行書かれるか書かれないかという小さな出来事に過ぎなかったけど、歴史の転換点としては大きなものだし、本作が作られたことによって、この後の歴史の見方が少し変わってくるのかなと思います。武器なき戦いではありますが、こうした歴史の小さな一幕というのはどの時代でもあり、今後も映画作品になる可能性もありそうです。

三谷作品だけあって、いろいろ癖のある楽しい役者たちが登場し、相変わらずコミカルな集団劇となっています。ただ、「ステキな金縛り」、「ザ・マジックアワー」とただ笑えるだけではなくて、人がもつ愛おしさみたいのをうまく作品に取り込み、観終わった後に楽しめると同時に心が温かくなるような近作と比べ、この作品はどうも笑え楽しい作品という以上がないかなと思います。歴史の重要な一幕をここまで拡げたのは凄いですし、コミカルな描写の裏に人間の力関係、駆け引きみたいなものを微妙に盛り込んではいるのですが、どうもそれが作品の良い点にはつながっていないように思います。

ただ、三谷印がつくだけで安心して観ることができるのは確か。シネコンで数ある映画の中で、どれを観るか迷った時は迷わず選んで損はないと思います。

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