1月 17
独身・無職者のリアル (扶桑社新書)

独身・無職者のリアル (扶桑社新書)

「独身・無職者のリアル」を読みました。

国勢調査のデータを見てみると、2000年度の段階で三大都市圏(東京、名古屋、大阪)で人口の約1/4が住んでおり、年々その割合が大きくなってきている。特に、高齢者比率が高く、都市圏の利便性の高さから引退後に都市でという生活スタイルも増えているという。僕自身も地方出身だけど、年を取ってから無縁な都市に出てくるというのは不安ではないかといつも思う。FacebookなどのSNSも発達しているが、やはりリアルな縁というほど強いものはないからだ。

この本はそのことも踏まえ、社会に”縁”をつくることの大切さを説いていると思う。やはり、育ちとともにはぐくむ縁というのは重要で、昔は遠い親戚でも交流があった”血縁”があり、幼馴染や同級生、近所の人などの”地縁”がある。それが大学や社会人になるとともに、都会に出てきて、周りの縁が日常いつも会う人(本の中では”社縁”としている)になる。こうした”縁”は時代とともに変遷してはきているものの、社会のベースになり、人の生きるベースにもなってきている。

ただ、格差社会などで多くの人が就職難となり、都市に出てきても”社縁”を作れない人も多くなってきている。都市部では地域でも交流があるわけでもなく、独身世帯の増加によって、家庭とのつながりもなくなってくる(”血縁”も、”社縁”もなくなってくる)。こうした人にとって、孤独死は対岸の火事的な問題ではないのだ。

そうした縁がなくなった社会にとって、例えば、引きこもりや心の病などで関係を作れなくなった人は、もう絶望するしかないのだろうか。筆者は”縁”の源泉になるのは何なのかということから詳しく分析している。

真の優しさや温かさから得られる安心は、新たなエネルギーを生み出す力になります。そこから生まれるエネルギーは、社会から抹消されてしまいそうになる不安さえも消してしまい、もう一度生きようという希望につながるかもしれません。人が不安のどん底にもがきなら必死に求め続けるものの正体は、きっと「安心」なのだと私は思います。その安心が少しずつ充電されていくことで、生きる希望につながってきます。 (P.94)

この「安心」を享受できる。これは普段、私たちが盲目的になっている、人に対する愛なのではないかと思うのです。

「家族」があって、生きていくために必要な経済力を生み出す「仕事」がある。そこには、多くの時間や達成感を共有する「仲間」がいます。さらに、いつも他愛のない話をしながら、どんなときでも自分を理解して励ましてくれる「友人」たち。人はそういったものでバランスをとって、安心感を得て生きているのです。(P.98)

僕もそうですが、そうはいっても人とうまく関れない人というのはいるものです。そういう人は(ナルシストとなる危険はあるけど(笑))徹底的に自分を愛してしまえばいいのではないかと思うのです。

たとえ二度と立ち上がれないと思っても自分を否定し続けないことです。一生懸命生きてきた自分を褒め、この自分でいいんだと強く言い聞かせ、自分にオーケーを出してやればいいのです。それが自己肯定感です。これがあれば人は何度でも立ち上がれるのです。(P.99)

僕も客観的に見れば、いつでも自分をダメ出ししたいと思ってしまうけど、そうしたら人生は楽しく生きられない。そこは「自己を肯定する力」が、実は生きていく力になると思います。すごく嫌だったら思い切って逃げ出してもいいと思います。社会は大海原みたいなもの。どこかに今のあなたを信じてくれる人が必ずいると僕は思います。

人生にはどんなに頑張っても思い通りにならない、そんなことの連続です。時にはへこたれそうになり、泣き出しそうになり、逃げ出したくなるときもあります。そんなときは少し休んだら、無理矢理でも別の世界に飛び込んでみる勇気が欲しいです。そこには、確実に新しい世界が待っています。そこから始まる単調な日常に身を任せているうちに、こだわりから解放されていくこともあるからです。(P.101)

独身・孤立者のリアルドキュメンタリーに留まらず、いろんな生き方のアドバイスをしてくれる素敵な本です。自己啓発としてもとってもオススメな書籍になっています。

preload preload preload