「ビフォア・ミッドナイト」を観ました。
評価:★★★
1995年に公開され、ベルリン国際映画祭で最優秀作品賞にあたる金熊賞を受賞した「恋人たちの距離(ディスタンス)」(DVDなどのタイトルは「ビフォア・サンライズ」に変更)。この作品では旅行先でたまたま出会ったイーサン・ホーク演じる男性と、ジュリー・デルビー演じる女性が一目の恋から、不意に降り立ったウィーンで一挽を過ごすラブ・ロマンス作品だった。金熊賞を取るくらいなので、普通のラブ・ロマンスではなく、話の方向のプロットのみを与え、後は主演の2人がそのプロットに沿った会話を長回しで撮っていくという構成にしたことで、まさに恋人ならではのリアルな空気感を生み出すことに成功している。一夜を過ごして、別れた2人の9年後を描く「ビフォア・サンセット」(公開の時間軸もあっている2004年に公開)も、今度はパリに舞台を移し、一夜のロマンスのその顛末を同じスタイルで描きながら、一夜では終わらない大人の恋の行方を素敵に描いた作品だった。
そして、今年の2014年に公開された本作は2作目「ビフォア・サンセット」の更に9年後を描いた作品になっている。日本では2014年公開で9年きっちりにはならなかったが、2作目の9年後とピッタリと公開時期を合わせている。予告編でも描かれているのでいいと思うが、2作目を経て、晴れて2人は結ばれたことになるのだが、恋人から夫婦になっても恋への悩みは変わらない。互いの価値観を共有したり、時には反目したり。シリーズをずっと見てきた人にとっては、いつもの会話劇のリアル感を堪能できるとともに、1作目のウィーン、2作目のパリ、そして本作のギリシャと、旅行に行ったような空気感をスクリーンから感じられるのも作品としての魅力となるところだろう。
ただ、まぁよく喋ること喋ること。日本人だったら恋人同士でもこんなに喋るカップルはいないだろうと思うくらいに、よく喋る(まぁ、これがなかったら作品は成立しないんだけど)。前二作と違うのは、今回はカップルから夫婦になったということ。恋人だったら、例えば、お互いがどんな音楽が好きだとか、作家が好きだとか、どうでもいいことの共有でもいいのだが、夫婦になると生活を共有するようになる。普段のこういう態度が気に入る・気に入らないとか、あのときどうだったとか、これもどうでもいいいざこざから夫婦喧嘩までに発展する様は、前二作とは明らかに違うところだろう。そこを乗り越えてまで、お互い一緒にいたいという想いはどこからくるのだろう? 夫婦喧嘩を傍目で見るのはいつの時代も決して楽しくはないが、ふとそんなことを考えてしまった。