1月 29

7番房の奇跡

「7番房の奇跡」を観ました。

評価:★★★★☆

「シュリ」から始まり、韓国映画が日本の興行界に入ってきたのが2000年。それから14年が経とうとしているが、韓国映画の力強さというのは全然衰えてないことを感じる作品だった。知的障害を抱える父が警察官僚の娘を殺したという容疑で収監される。殺人容疑の真相というミステリー要素もなくはないが、それは背景の1つであって、物語の主軸になるのは刑務所に収監され、唯一の肉親である娘との絆を描いたヒューマンドラマの部分。予告編にもあるように刑務所の中で繰り広げる親子劇というのは一見奇想天外なのだけども、映画は所詮ファンタジーであるので、その世界観で1つの完結した作品と作ってくれればいいと僕は思っている。この作品はそんな冒険的な要素も取り入れながら、ちゃんと完結的な物語にしているところが凄いのだ。

その象徴となっているのが中盤に出てくる大人になった娘が時代を越えて、父親と触れ合ったりする描写だろう。これは父親が冤罪なのかどうかに絡んでくる物語の重要な場面なんだけど、こうしたシーンを平気につくれるのが韓国映画の力だと思う。確かに泣けるベタなシーンの構成なのかもしれないけど、こうした構成をちゃんと作れるか作れないかが結構肝ではないだろうか。人の情をどうスクリーンの枠組みの中で構成していくのか、これを考えられる監督がどれだけいるだろう。

父娘と母子という違いはあれども、刑務所の中の親子の物語というのでは「ハーモニー」という韓国作品もあったけど、あれもいい映画だった。「ハーモニー」にしても、本作にしても、出てくる子役の演技の上手さといったら半端ない。本作の6歳の娘役カル・ソウォンも、芦田真菜ちゃんビックリ(もう古いか、、)の演技力だ。ラストがちょっとダラダラと続いてしまうのが唯一の欠点だが、ファンタジックな要素も上手く絡んだ映画作品といえると思う。

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