2月 13

光にふれる

「光にふれる」を観ました。

評価:★★★☆

台湾のチャン・ロンジー監督の自身による短編「ジ・エンド・オブ・トンネル」(2008年)を、ウォン・カーウァイ監督の助力などを得て、長編化したのが本作。盲目でありながら、ピアノに人生の活路を見出そうとしている青年と、一人の女性(シャオジエ)との出会いを中心にして、共に夢を実現していこうとしていくのが、本作の主軸になっている。

この映画の魅力になっているのは、本作のもとになっている実話の主人公、視覚障害でピアニストのホアン・ユイシアンが本人役で登場していることだろう。彼の奏でる音楽は絶品で、ダラッとしたシーンが彼の演奏でピリッと締まるのが凄い。ミュージカル映画でもそうだけど、音楽が何かを変える力というのは何度見ても凄いと思う。

映画の見どころになっているのは、ユイシアン青年がシャオジエとの出会いを通して、徐々に心を開けていく、その心が開ける様と2人がデートで訪れる様々な場所の光景が絶妙にリンクしていることだろう。冒頭は母親に支えながら、どこか暗闇を抱える暗め映像レンズだったのが、後半の海岸場面などはシーンとしても好対比になっている。この辺りの映像マジックはウォン・カーウァイの影響力を十分に感じ取ることができるところだろう。

ただ、物語としてはあまりに美し過ぎるところが欠点だと思おう。夢に向かうとか、目が見えないなどの障害は、やはり人生では負の苦しみを追ってしまうところでもあるが、その辺りの描写が最小限に抑えられているので、とても物語の喰いつきとしてはイマイチだろう。

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