3月 14

グロリアの青春

「グロリアの青春」を観ました。

評価:★

離婚を乗り越えて、新しい出会いを求めようとする中年女性グロリアを描いた、中年版青春劇。予告編を見る限りでは、もう一度人生を取り戻そうとする、爽やかな女性映画と思いましたが、中身を見ると、そんな軽妙でもなく、じっくりと地に足付いた形で描かれていることに多少ビックリしました。それでも前半は、中年にさしかかり、問題を抱えながらも、子どもがそれぞれ巣立っていく中、自身の幸せを模索しようとする、よくある中年女性の問題をうまく捉えていました。ですが、徐々にあらぬ方向に逸脱を始めてきて、自分としてもだんだんと白けてくることが実感できる残念な出来でした。

まず、グロリアが出会った素敵な男性ロドリフォとの恋の駆け引きが、とんでもなく理解できない。象徴的なのが、グロリアが自分の息子の誕生会に、ロドリフォに連れて訪れたところ。ここである事件が起き(ネタバレ防止のため、詳しくは書きませんが)、二人の仲が急に険悪になる。僕は、この事件はロドリフォも悪し、グロリアも悪いと思うのだけど、グロリアは被害妄想満載にロドリフォを攻め立てる。確かにロドリフォの行動もつまらない理由ではあるんだけど、グロリアのとったものに比べれば、彼の行動はいささか理解できなくもない。こう感じてしまうのは、僕自身が男性側なのからかもしれないけど、構われないからとか、体裁が悪かったから、相手にその非を押し付けるのは少々自分勝手過ぎないかと思うのだ。

こうしたグロリアの行動は、残念ながら最後まで猪突猛進。海岸でさみしい朝を迎える姿なんて、共感できるもあったものではない。グロリア役のパウリーナ・ガルシアは、チリでは有名な俳優で、本作にてベルリン国際映画祭銀熊賞をとっているくらい、俳優としての演技力は一流なんだけど、僕は序盤で見る気が失せました。単純だけど、人を思いやれない行動を垣間見せた瞬間に、その人の信用が地に落ちることを地で行っている作品だと感じてしまいました。

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