3月 19

それでも夜は明ける

「それでも夜は明ける」を観ました。

評価:★★★★

いわずもがな今年(第86回)アカデミー賞の最優秀作品賞受賞作品。黒人奴隷を描いた映画だと、僕が思いつくのはスピルバーグの「アミスタッド」だったりしますが、今までの黒人奴隷を描いた映画というと、弱きもの(黒人奴隷)を虐げる強きもの(白人たち)という単純な二項対立のみを描いている印象でした。でも、人間はそんなに単純でもなくて、例えば、奴隷になる側も全て主人の意向に従うだけではなく、自分の意思を貫こうとした部分はあるだろうし、奴隷たちを従える側も、奴隷たちが100%の力を発揮して仕事に取り組めるようにしたほうが、生産性を上げることにもつながる。会社のような組織でも、社長・社員で主従関係を分けているように思われるけど、組織としてなされる意思決定は一方通行でないことと同義。この映画が凄いのは、奴隷にしろ、白人たちにしろ、様々な考え方を持った一人一人として描いていることだと思います。

時代背景として驚くのは、南北戦争(1861年~)周辺の南部と北部では、これほど黒人たちの扱いが変わっていたのかというところでしょう。自由黒人としてニューヨークで生活していたソロモンが、仲間の裏切りで送られた南部ニューオーリンズでは人以下(家畜と同じ扱い)として蔑視される。差別される黒人たちだけではなく、彼らに接する白人たちの意識も南北でこれだけ大きな隔たりがあったのは同じ国であったのか(だからこそ、南北戦争は起きたわけですが)と感じました。

人の生き方を真摯に見つめているところに、アカデミー受賞の大きな要因があったのだと思います。

preload preload preload