「あなたを抱きしめる日まで」を観ました。
評価:★★★☆
先日、今年のアカデミー賞(第86回)が行われたが、万年ノミネートのメリル・ストリープと並ぶくらいに、ノミネート記録が続いている女優といえば、英国人俳優ジュディ・デンチだろう。1934年生まれなので、今年80歳となるベテラン女優の演技は「007」のM役のようなシリアスな演技をしたと思えば、本作や「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」で見せるような軽妙な演技まで様々な顔を見せる。年齢を感じさせないとはよくいったものの、年齢ともに普通なら役柄の幅が狭まる(演じられる役が限定されていく)ものだけど、彼女は逆に役者人生が長くなるとともに、いろんな顔を見せているといってもいいでしょう。彼女に合った役を選んでいるのではなく、彼女が出演した作品が、彼女の味になる。そんなベテランの腕の良さを、本作でも十分感じることができます。
本作は英国の孤児院を舞台に、若き日に引き離された息子を探す、一人の女性の人生の旅路を描いている作品となっている。予告編でも描かれるが、引き離された息子のその後が1つ作品の肝になっているところでもあるが、これが結構泣ける話になっている。こんないい息子がいるのか、、と思うけど、引き離される子を演じる子役も、すごく理髪っぽく可愛くて、物語を引き立てる1つの要素になっている。息子の顛末も含め、息子を探す話だけど、息子自体の話が本編に強く絡んでこないのも、息子の存在がより神聖化される演出となっている。
全体的にいいお話ではあるが、1つ不満があるとすれば、それほどダイナミックに物語が拡がらないことだろう。孤児院で行われた人身売買まがいなことも、大きな糾弾というわけではなく、1つの背景として描かれるに過ぎない。あくまで一人の女性の旅をうまくまとめた小品になっている。