「LIFE!」を観ました。
評価:★★★☆
ジェームズ・サーバーの短編「虹を掴む男」を映画化した作品。予告編から見て、何か不思議ないい雰囲気を醸し出す作品だなと思っていましたが、映画でもその魅力はふんだんに感じることができます。たとえが難しいのですが、ある有名な雑誌(社)が舞台となる作品なだけに、美しい風景写真や雑貨の写真で埋め尽くされ、ラックに飾っている段階から、中身を読まなくても、何だか魅力を放っているような雑誌そのもののような映画になっています。
この難しいたとえをよく表現しているのが、グリーンランドをはじめとして、世界各国の壮大な風景をスクリーンに最大限表現していることでしょう。それこそ、動く雑誌のような装丁を、映画館のスクリーンで、そのまま表現しているような作品ともいえると思います。それに合うような音楽も素晴らしいチョイス。この辺りのセンスの良さは、「ナイトミュージアム」で夜に動く不思議な博物館を魅力たっぷりに伝えた、ベン・スティラー監督ならではということがいえると思います。
ただ、この映像作品としての素晴らしさに対し、お話の魅力が少しついていけれていないのが少々物足りない。主人公が妄想癖を抱えながらも、普段の自分は、その壮大な妄想を越えるほどの成長をしていない、ごくありふれた男の話。この男が、ある仕事上の事件をきっかけに、自分を変える旅に出るという、話の筋としてはなかなか魅力的なのですが、その旅で起こるハプニングがとても奇想天外過ぎていて親近感が感じられない。なおかつ主人公が何の躊躇もなく、サラッとその難題を乗り越えてしまい、旅を通じた主人公の成長みたいなのがあまり感じられずに、ラストのメデタシメデタシに繋がってしまうのも物足りない。こってりとした濃厚スープではなく、味がしているのかという薄味な物語なので、映画一本みたという充実感には欠ける作品になっているように思います。
それでも、素晴らしい映像に絡み、各場面ごとのシークエンスはなかなか魅力的。ショーン・ペン演じる写真家が、何気なく地元民のサッカーの輪に入っていったりするシーンなんか、すごく好きです。欠点はあるけど、総じて憎めない魅力を持っている作品です。