「チョコレートドーナツ」を観ました。
評価:★★★★
1970年代に起こった実話をもとにし、ゲイのカップルと彼らの下で保護を受けたダウン症の少年との姿を描いたヒューマンタッチな作品になっている。2014年4月末の現時点で、銀座の劇場(シネスイッチ銀座)でしかやっていないが、口コミで話題が拡がり、平日以外は毎回立ち見が出るほどの大盛況。東京に暮らすようになって、シネスイッチ銀座さんもよく利用しているけど、僕が観に行った回で、ここまで混んだのは正直初めてでした(たまたま、初日の空いた時間帯でチケットがすんなり取れましたが)。このヒットを機に、全国に拡大公開されて欲しいなと思います。
予告編を観て分かる通り、この映画の結末はハッピーエンドではありません。先日観た「フルートベール駅で」でもそうですが、結末が暗いと分かっている作品を観るのは個人的にちょっと辛い。ダウン症の少年マルコが、ゲイのカップルのポールとルディの下で、閉じていた心がどんどん開いてくるところがしっかり描かれているだけに、余計に物語の哀しさというのが伝わってきます。それを体現するのが、シンガーを目指すルディの迫るような歌の凄さ。運命とか、社会の仕組みの中とか、人生ではどう頑張っても贖(あがな)えないことがある。そんなときに湧き上がる心の底からの叫びのようなものが、彼の歌という形で昇華されるのです。このラストシーンは、今思いだすだけでも涙が溢れてきます。
僕自身もダウン症の弟がいるので、映画本編以外の部分でも、いろいろ感じずにはいられないところがたくさんありました。弟もそうだし、弟が通っていた知的障害の人が通う学校の子とかも、触れあったことがあったのですが、彼ら彼女らの純な心の持ち方をみると、自分の心のあさましさというか、穢れみたいなものが如実に見えてきて、本当に彼らが天使だと言われる理由が分かるような気がしてくるのです。映画の舞台である、1970年代とは違い、障害者も、同性愛者も幾分は暮らしやすい世の中にはなってきたように思いますが、生き方の多様性、お互いの生き方を尊重するということは、これからの時代こそ一層必要だと感じました。