7月 18

マレフィセント

「マレフィセント」を観ました。

評価:★★★

3Dの字幕版にて。

1969年のディズニー長編アニメ「眠れる森の美女」の悪役マレフィセントを主役にしたファンタジー映画。予告編からなんとなく推察できると思うけど、単純に悪役側から描いただけではない大胆な脚色が加わっています。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、まずこの脚色をしたことで、「眠れる森の美女」がもっていた話の結末が大きく変えられていいます。これをもうちょっと考えてみると、眠れる美女を起こすほどの運命の愛とは一体何なのか、、、という核心部分をすごく突いている。愛とは、きれいな服を着て、容姿もかっこいい王子様がもたらしてくれるものじゃない、、愛とは、本当に愛する人のためをいつも考えてくれる人なのだという、見方がすごく現代的。この古いおとぎ話のテーゼを崩したアンチテーゼな物語を、アンチテーゼな役ほど光るアンジェリーナ・ジョリーが怪演しているのも、この映画の魅力の一つだと思います。

そうした素晴らしい物語に、映像力も全く負けていない。ファンタジー描写がふんだんな前半部も、圧倒的な力感で描いてくれているので、これを見るだけでも鑑賞料金の大部分は還元されていると思います。ただ、中盤部で見せる話の転換点から、マレフィセントが実は善人じゃないかというキャラクターの転換が、いともアッサリしてしまっているので、食いつきがないというか、いささか物足りない展開になってしまっています。話の持ってく方向は素晴らしいのですが、物語の方向を変えていくのに必要な登場人物の悩みというのがあまりなく、全てのキャラクターがその話の流れを受け入れてしまっているのがどうかと思ってしまうのです。オーロラ姫や、フィリップ王子が薄っぺらく感じてしまうのも、こうした背景があるからではないかと思います。

でも、ディズニー自身が過去のディズニー作品を否定というか、変えてしまう作品を作るというのは画期的。こうした挑戦的な作品を、今後もディズニー自体が発信して欲しいなと思います。

次回レビュー予定は、「ぼくたちの家族」です。

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