7月 28

罪の手ざわり

「罪の手ざわり」を観ました。

評価:★

「世界」、「長江哀歌」などの作品で知られるジャ・ジャンクー監督による作品。ジャンクー監督は非常に寡作な監督で、今作も7年ぶりとなる長編映画。僕が前に見た「長江哀歌」も2006年、印象的だった「世界」も2004年とほぼ10年前なのでイメージをほぼ忘れてしまったからかもしれないけど、ジャンクー監督って、こんな作風だったけ??というのが正直なところ。「世界」は北京、「長江哀歌」は山西省(だったかな、、)という、変わりゆく街を舞台にして、時代の変遷に負けない人間を描いてきたと印象でした。確かに、この映画も工業化、それに伴い生活の営みが変わってくる人たちを描いてはいるが、その結論にバイオレンスな死の影がつきまとうので希望が全く見えない。映像作品としては、素晴らしいのかもしれないけど、1つの映画としては(僕自身がバイオレンス映画が好きでないこともあるけど)どうなのかと思ってしまう作品になっている。

観ていて感じたのは、相手を殺すという行為は、”コミュニケーションの手段”というのを断ってしまう行為なのだなと素直に思いました。単純に、死人に口なしになるので、やんやわんや言ってくる相手、自分が思い通りに進めるのに邪魔になる相手、自分にとっていなくなることで利益があげれる相手を、いなくさせてしまう(殺してしまう)というのは、究極のディスコミュニケーションなのだなと感じます。作品中に自殺する登場人物もいますが、自殺も、自分という相手に対して、コミュニケーションの手段(というか、自分の生きれる逃げ場みたいなもの)を拒絶してしまう究極行為。人を殺すしか成立しないものというのは、社会に対しても悪であることをまざまざと感じさせられました。

というか、こういう映画だとは予告編を観たときには分からなかった。。知っていれば、見ない部類の作品でした(これは完全に趣味の問題です)。日本からも北野オフィスが協力しているようなので、そういう方向の作品に流れやすいのかなと思います。ジャンクー監督には、もっと違う面での力量を観てみたいと思いました。

次回レビュー予定は、「X-MEN フューチャー&パスト」です。

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