9月 10

円卓

「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」を観ました。

評価:★★★★☆

西加奈子の小説を原作とし、「世界の中心で、愛をさけぶ」の行定勲監督が映画化した作品。観ていて、すごくじんわりとくる、いい作品でした。ちょっと人とは感じ方をし、違ったことをすることが好きな小学生の女の子が、ひと夏の経験をもとに、少しだけ大人の階段を昇るというお話。男女の違いはあるものの、僕もどこか主人公こっこの気持ちが分かる部分があります。こっこみたいに外交的ではないですが、ちょっとした人の仕草とか、世界でちょっとだけ変わっている現象を見つけることが小さい頃から好きで、人とどこか変わったことをしたいという願望は人一倍強かったと思うのです。でも、周りは人と同じことをしないとおかしいとか、やめさないとか平気で言う、、だって変わっているのだから、どうして?、なぜ?と言っていけないのか、、実は、このことを知ることが大人への成長ということにつながってくるのです。

大人になって思うのは、子どもって素直だけど、反面、すごく残酷なことを平気でしたりします。それは子どもだから、思ったことをすぐ実行してしまうから仕方のないこと。でも、大人はそうはいかない。だって、相手のことを理解して、相手が思うようなことに応えていかないと、そもそも社会というものが成立しないから。こうした人間関係って、子どもから見ると、すごく偽善的にも映るから、なぜ? どうして?という問いになってしまう。対する大人も偽善的なロボットにならないために、如何に人間らしく生きていくかということを必死で考える、、、、それが、映画のタイトルになっている、イマジン<想像かつ創造力>なのだと僕は思う。

この映画の素敵なところは、傍から見ると人の弱みと思えるようなところも、その人のユニークなところとして描いているところだろう。象徴的なのは、こっこの友達たち。親友のぽっさんは吃音を抱えているし、優等生の朴くんは在日で不整脈という爆弾を抱えていたりする。それでも、こっこは彼らの弱みをユニークな点と思って、羨ましく思い、むしろ、そのユニークなところを自分のものにしたいとも思ってしまうのだ。これ自体は前向きですごくいいことだけど、世の中にはそれを疎ましいと思ってしまう人も当然いる。ひと夏のいろんな経験の中で、友達たちにも教わりながら、こっこは皆の幸せを考えていくのだ。

演じる芦田真菜ちゃんのパワフルさといい、親友たちの演技も含めて、子どもたちがすごく元気でいい。後半のぽっさんの演技なんか、観ているこちらはすごく泣かされてしまった。いろんなエピソードが詰め込まれていて、途中に空中分解しそうになっているのが欠点といえば欠点だが、それさえも乗り越える力強さが、この映画の魅力でもあります。関西に住んでいた身としても、オススメ!!です。

次回レビュー予定は、「トランスフォーマー ロスト・エイジ」です。

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