「春を背負って」を観ました。
評価:★★★☆
「鉄道員」など長年日本映画を撮影という立場で支え、「剣岳 点の記」で映画監督デビューを果たした木村大作監督の2作目となる作品。前作は”剣岳”という日本でも有数の連峰を、測量に命を懸けた男たちを描いた力強い作品だったが、本作は同じ山岳が舞台でも、現代の純粋な若者たちを描いた爽やかな作品になっている。いや、作品自体は(失礼ながら)昭和の匂いも感じてしまうほど、少し演出も古めかしいかな(台詞も長いし)とも思わなくはないですが、それが逆に厳しい山の世界に入ることで、自分をもう一度見つめていく若者たちの素直な心情を表していると思います。自然を相手にすると、よくその人が出るといいますが、この作品もそれと同じようなところを見つめていると感じます。
この映画を観ていて思ったのですが、都会に溢れた多くの顔が見えない人ではなく、山や海など大自然を前にして、そこで懸命に生きる人たちこそ、顔が見える人だなと思います。無論、大自然の中では自分くらいしか、自分を助けてくれる人はいない。だから自分をとことん磨き、見つめるために人は山に登るのかなと、山登りをしない僕でもなんとなく感じることができました。山小屋はそんな自分を見つめたい人が集まってくる。だからこそ本音をさらけ出す人が多いし、そこでいろんな出会いが生まれるのかなとも思います。
ヒロインを演じる蒼井優が実にいい。もちろん、その他のキャラクターも光ってはいるのですが、彼女を介することで、より一層の光を放っているといっても過言ではありません。大自然を捉えることに長けた木村監督の腕も随所に光っています。観終わった後は、頂上に到達したときのような清々しさを感じれる作品です。
次回レビュー予定は、「サンシャイン 歌声が響く街」です。