10月 08

ローマ環状線

「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」を観ました。

評価:★

ローマをぐるっと囲む環状高速道路GRA。本作は、このGRA周辺に住んでいる人々に迫ったドキュメンタリー映画となっています。日本にも主要な都市高速は環状道路になっています。東京なら首都高速中央環状や首都環状、大阪なら阪神環状1号、名古屋は名古屋環状などなど。特に首都高速などは、通っている場所によって色合いが確かに違う。鉄道などでも山手線の駅などを見ても、東西南北という区割りでも、渋谷・新宿・品川という各駅によっても、ガラッと雰囲気が変わったりして、むろん、そこに生きる人たちの色合いも違ったりします。そういう延長で観れば、この映画の狙いたい部分は何となく見えてくるのです。

しかし、この映画の最大のネックは、僕自身はローマの各エリアの色合いを知らないことでしょう。だから、このドキュメンタリーに登場している人たちが環状線のどこに住んでいるのか分からないし、そこの地域性もしらないので、描かれていることに全く共感ができないのです。ただ、ローマに住んでいる人の悲喜こもごもがダラダラと見えているに過ぎない。その1つ1つの大したエピソードでもなく、ただ日常の風景が切り取られているだけ。正直、観ていて苦痛でした。

そもそも本作を観ようと思ったのは、ドキュメンタリー映画で初のヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝いていたからなのですよね。確かに、イタリア人や少なくともヨーロッパに住んでいる人なら分かることもあるのかもしれないですが、それは僕たち日本人には分からない。同様に、例えば、山手線で同様の映画を作ったとしても、ヨーロッパの人たちには共感を得ない(秋葉原とかは別なのかもしれないですが(笑))のでしょう。国民性が違っても、何か分かるものがあるのかと期待したのですが、正直そういった特筆したものは感じられなかったです。

もっと環状線との関わりが見えたら違う感想をもったのかもしれないですが、環状線をいく救急車に乗る救急隊員のエピソードくらいしか明確なものがなかったのも残念なところです。せっかく題名の一部にもなっているので、もう少し前面に出してもよさそうなものですけどね。

次回レビュー予定は、「フランシス・ハ」です。

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