10月 14

ウィークエンドはパリで

「ウィークエンドはパリで」を観ました。

評価:★☆

「ムーラン・ルージュ」などの作品で知られる名脇役ジム・ブロードベントと、同じく名優でもあるリンゼイ・ダンカンが一筋縄でいかない夫婦を演じるラブドラマ。日本でも引退後は海外旅行三昧という老夫婦は結構いると思うのだけど、この映画に登場するニックとメグの夫婦はそんな枠には収まらない。休暇で、パリに来たものの、しょっぱなのホテルでついたケチから物語はあらぬ方向へ転がっていく。はたして、夫婦のパリ旅行はどうなるのか、、旅行よりも夫婦の絆が試される試練がニックとメグには訪れるのだった。

夫婦も長年いると、相手が好きというレベルが半端ないくらいなところにいくのだなーと思う。嫌いと思うのも好きの内とはよく言ったものだけど、相手のダメなところがとことんダメに見え、それもさらに突き抜けると、だからこそ相手が好きという気持ちに変わってくる。傍目からみると決してわからないのだが、夫婦というのはどうもそうらしい。昨今では、そんな深みに到達することなく、仕事のリタイア直後に熟年離婚するカップルも多いそうだけど、そういう人ほど、この映画を観て、夫婦であること、相手を愛しむとはどういうことなのかを考えるといいのかもしれない。

でも、僕自身はそんな表現できないような気持ちに到達しきれていないこともあるし、逆に、そんな気持ちを組み取れる人が、本作の観客の中でどれくらいいるのだろうと思ってしまうのも正直なところ。客観的に見ると、パリの美しい情景とは裏腹に、ただ夫婦それぞれが暴走し、お互いに疲れ切り、別れるしかないお先真っ暗な映画にしか見えないのだ。これは観ていて気持ちいいものではない。でも、最後の最後で夫婦であることとはどういうことなのかを問う映画だと分かると、ラストシーンの作り方がすごくセンス満載なことがようやく分かるのだ。タイトルから読み取れるような、決してオシャレな映画ではないので、これから観る方はご注意のほどを(笑)。

次回レビュー予定は、「猿の惑星 新世紀(ライジング)」です。

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