10月 15

猿の惑星 新世紀

「猿の惑星 新世紀(ライジング)」を観ました。

#前回、次回レビュー予定が違ってました。。スイマセン。

評価:★★★★★

3Dの字幕版にて。

名作「猿の惑星」の前日譚を描いた、「猿の惑星 創世記(ジェネシス)」の続編。前作は、バイオ技術を誤った方向に使った人間の愚かな企みと、知性を持った猿たちの反逆という単純な構図を見事なVFXで描いていましたが、続編となる本作は、VFX技術は更に深化を魅せると同時に、物語としても一歩踏み込んだ深いものになっています。今回は単純な人間の愚かさに言及することなく、生き残ろうとしている人間たちの共感できるエピソードを盛り込みながら、凋落の一途を辿る人間たちに反し、猿たちは猿たちで、より動物社会から知性ある(まるで人間のつくるような)社会を形成していこうとしていきます。ネタバレとなるので詳細は省きますが、前作では共闘していた猿たちの中でも、妬みや裏切りが蔓延し、一歩人間に近づくような高等な進化を遂げるのです。そんな猿が抱える感情が猿たちが作る社会と、生き残った人間たちの社会との狭間で(予告編にあるような)1つの悲劇を生み出します。これが、まるでシェイクスピア悲劇のような高尚な物語構造なのです。

VFX面でも巧みな進化を遂げています。特に見せ場は、猿たちと人間たちとの戦闘シーン。スクリーンいっぱいに動く猿たちを捉えるカメラが三人称から、一人称に変わっていったり、ずっとワンショットに迫ったりと目まぐるしく変化する様は、まるでテレビゲームのような映像の面白さがあります。3D感が正直あまり感じられなかったのは残念ですが、この戦闘シーンやラストの塔の爆破に絡む戦いの場面などはスクリーン映えがすること請け合いです。

ラストシーンもすごく印象的。シーザーの激しい戦いの後、猿たちと人間たちの舞台が入れ替わる様は、まるで舞台劇のようなキャラクターの幕引きを演出しています。振り返ってみると、上記物語構造に関してもそうですが、映画ながらも舞台劇のような構造を相当研究して作られているような気がします。メインのキャラクターに対し、強烈な個性を放つ対抗するキャラクターを置き、まったく違う人間側にも話の筋は違えど、同じような対立構造を持たせて対比を図っていたりもします。猿の描写など、VFXが全面に出てしまうとキワモノと捉えかねない作品なのですが、僕は秋映画に相応しい見ごたえ十分な作品として高評価します。オススメなので、(前作とも合わせて)スクリーンで楽しんでいただければと思います。

このラストから次作はどう展開していくのか、今から楽しみです。

次回レビュー予定は、「毎日がアルツハイマー2」です。

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