11月 10

メアリーと秘密の王国

「メアリーと秘密の王国」を観ました。

評価:★★★☆

日本語吹替え版にて。

CGアニメ「アイス・エイジ」のクリス・ウェッジ監督によるファンタジーアニメーション。劇場公開がすごく限定されているのが残念なくらい、とっても楽しいアニメでした。CGアニメはそれこそ先駆けとなるピクサー社の作品(後のディズニー関連作:「トイ・ストーリー」、「モンスターズ・インク」など)が賑わいを見せている頃は、FOXやドリームワークス、ワーナーなど、各アニメーションスタジオがこぞって出していて、日本でも結構劇場公開されていましたが、近年はディズニースタジオ作以外は結構絞られていて、名の知れない単品作はDVD直行になることが多いように思います。アメリカではアニメの主要ターゲット低年齢層向けに、アニメ作品というのは一定数出されていて、日本公開されていない隠れたヒット作も実はあったりするのです。

本作の「メアリーと秘密の王国」は久々の20世紀FOXアニメ。最近では「アイス・エイジ」が有名ですが、過去にも「アナスタシア」などアニメ映画としては結構老舗なスタジオだと思います。本作も文科省選定作に選ばれなければ、「アイス・エイジ」のクリス・ウェッジ作という名前があっても、劇場公開は難しかったかも。かじろうて、イオンシネマ系列で限定公開されましたが、これがお話的にはすごく面白くて楽しかった。父と疎遠になっていたヒロイン、メアリーが、その父が長年追い求めていたミクロの世界の出来事に巻き込まれていくというファンタジー。人間からミクロな人になってしまった世界観も丹念に描かれているし(時間の進むタイミングが違うところも、生物時計という概念から見て科学的)、「アイス・エイジ」のときと同様に旅と、その伴となる相棒たちの掛け合いも絶妙で面白い。また背景となるミクロの世界で繰り広げられる光の王国と、闇の世界の対立は素直に見入ってしまう。戦いの場面のアクロバティックな映像の見せ方も、映画館で観ると迫力が満点だ。

ただ、物語的にはすごく真っ当過ぎて、この作品独自の色というものをもう少し味わいたかったのも事実。こういうファンタジーなら、大まかに想像できるストーリーラインを逸脱することがないのだ。それに、出てくるキャラクターの愛らしさも、もう少し欲しいところ。今年ヒットした「アナと雪の女王」に出てくるオラフというキャラクターと、本作で旅の相棒となるカタツムリ&ナメクジコンビを見比べても、やっぱりディズニーのキャラクター作りの上手さというのを感じざるを得ません。数年前にドリームワークスの「アンツ」と、後発となったディズニー(ピクサー)の「バグズ・ライフ」でも、描く世界は同じで、お話は前者が面白いのに、作品全体の作りは後者に断然軍配が上がったのと同じような構図になっているように思います。ミクロになったという設定から、動物たちをリアルに描きたいのは分かるのですが、実際にスクリーンで観ると巨大で恐ろしい生物にしか見えない。子ども向きという線を引くなら、もう少しこの辺りの研究も必要かなと思います。

次回レビュー予定は、「不機嫌なママにメルシィ」です。

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