11月 13

小野寺の弟・小野寺の姉

「小野寺の弟・小野寺の姉」を観ました。

評価:★★★☆

昨今の少子高齢化の波の中で、結婚年齢も徐々に後ろに下がる晩婚化や、独身のままで過ごすことが世の中としても当たり前になってきた。こうした個人の生き方みたいなものが自由になっているのは、経済的にも、社会的にも、日本がより高いレベルにいるということには周知のとおりで、この社会では結婚することがイコール幸せということでは必ずしもない。その中の提言をしているような映画が、本作「小野寺の弟・小野寺の姉」なのだと思う。

小野寺姉弟は早くに両親を亡くし、身寄りがない中で姉が母親代わりとして、つつましく二人で暮らしてきた。弟33才、姉40才の同居生活の中で、弟は幸せを一時期掴みかけたが姉のために、姉はいつまでも幸せを掴み損ねる弟の世話ばかりで、自分のことは二の次。お互いがお互いを思いやるばかりに、世間的な幸せというのを逃している。だけど僕は、こうした姉弟のつつまやかな生活こそがむしろ幸せのように映ってならない。他者を思いやるという気持ちが、姉弟に向かうのか、それとも恋人という他人に向かうのかだけだと思うのだが。。

結局幸せという状態をどう感じるかは、その人自身の内在的なものに過ぎない。恋人であろうが、家族であろうが、自分以外の人間が入ったときの幸せというのは、必ず何かを犠牲にしないといけない。この作品が悲しいのは、互いの思いやりと思っているところが、逆にそれぞれを不幸に追い込んでいることだろう。やはり家族であろうが、そのことを認識して乗り越えない限り、他者を交えた幸せというのはいつまでもやってこないのかもしれない。

原作は本作の監督でもある西田征史の同名小説。舞台劇にもなっており、そこでもコンビを組んでいた、向井理、片桐はいりの息の合った演技も絶妙。微笑ましい笑いもふんだんにあるので、全体的にお洒落で可愛い作品に仕上がっていると思います。

次回レビュー予定は、「エクスペンダブルズ3 ワールド・ミッション」です。

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