12月 25

寄生獣

「寄生獣」を観ました。

評価:★★★★☆

岩明均の原作コミックを、山崎貴監督&古沢良太脚本という「ALWAYS 三丁目の夕日」コンビで映画化した作品。僕は映画化になる話まで原作を知らなかったんですが、結構人気みたいですね。映画を観る前に、原作コミックの1、2巻を読んでみましたが、原作の連載開始時が1990年という少し昔なため、絵の描き方もバブリーな当時を彷彿とさせていました。寄生獣によるミンチ殺人事件など、結構グロい描写もなくはないのですが、お話自体がしっかりしているので、こういうジャンルが苦手な僕でもすんなり読めました。そして期待した映画版は、こちらの想像以上によくできていて、少し感動すら覚えたくらいです。

作品構成が本作と、最終章となる次作「寄生獣 完結編」の2部構成になるそうですが、今回公開されたのは序章としての1作目。僕は本作を観て、まず思い出したのがクリストファー・ノーランの「バットマン ビギンズ」でした。親に絡んだ不幸なトラウマを抱えるのも同じだし、乗っ取られた身体を使って、同じ寄生生物を倒していくというのは、バットマンそのものの物語に当てはまらないまでも、アメコミヒーローもののような陰をかかえたダークヒーロー像に、主人公・新一の姿がよく重なります。原作コミックのほうも、話はライトながら、各キャラクターの抱える闇の部分みたいなところがあって、それが映画版でも上手く表現できていると感じます。映画版でも、人がミンチ状に殺されてしまうところがありますけど、表現自体はホラーとか、スプラッター映画のようなリアル度に極度にこだわっていないところが、グロいという感覚をうまく消してくれていると思います。この辺りは、VFXに卓越した山崎監督の実力の部分かもしれません。

それに何と言っても、新一に寄生するミギーのキャラクターが非常にいい。原作でも、奇抜なキャラクターでしたが、笑いを誘えるほど愛嬌あるキャラに仕上げているのは映画版の味なところでしょう。ただ、前半の軽妙なお話調に対し、中盤以降、少しダークな色合いに作品がなってから、このミギーの軽妙なキャラクター像がうまく引き出されなくなった(まぁ、お話の展開上しょうがないのですが、、)のが少し残念でした。学校でのバトルシーンもあまり盛り上がらなかったですしね。。 でも、次作の完結編に向けて、期待が高まったのは事実です。2部作といわず、3部作くらいの構成にしてもらいたいなーとも思ってしまうくらい、いい作品でした。

次回レビュー予定は、「バンクーバーの朝日」です。

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