1月 14

トラッシュ

「トラッシュ! この街が輝く日まで」を観ました。

評価:★★★☆

「リトル・ダンサー」や「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」などの作品で、子どもたちの映画を作るのに手腕を発揮しているスティーブン・ダルドリー監督作品。舞台をブラジル・リオに据え、スラムに住む子どもたちにフォーカスを当てた作品になっています。一定の面白さは味わえる作品ではあるのですが、観ていていろんな作品を想起させてしまうというのは、いいことなのか、よくないことなのか、と思ってしまう作品でもありました。全体的な感じは「スラムドック$ミリオネア」だし、同じブラジルを舞台にしている「シティ・オブ・ゴッド」を思わせたり、お金を巡る物語ということでは「ミリオンズ」をも感じさせるし、鑑賞後の爽快感は「ショーシャンクの空に」に似ています。ミステリーを感じる前半部は、ダルドリーの前々作「ものすごく~」をも通じるところもあったりと。似ているとは思いながらも、それぞれのいいエッセンスを使っているところがダルドリー監督の上手さでもあります。

いろんな作品を引用しましたが、最初に感じた「スラムドッグ$ミリオネア」よりも痛快な作品になっているのはいいですね。「スラムドッグ~」は原作も読んでいて、期待して観たのに、映画版でのヌルい感じに非常にガッカリした(しかも、アカデミー賞受賞作品)覚えがありますが、ミステリーと子どもを主役にした作品としては物語の奥深さや、各シーンのスピード感は本作が圧倒的に上。正直、スピード感が実はないダニー・ボイルより、作品全体にリズムはあるダルドリー監督に、「スラムドック~」の映画化をして欲しかったなと、本作を観ていて感じてしまいました。

それに、やはりダルドリー監督の子どもの使い方の上手さには脱帽します。主役の3人はオーディションによって選ばれた新人子役らしいのですが、どの子もお話の中で活き活きとした表情を見せている。それはデビュー作の「リトル・ダンサー」然り、「ものすごく~」でも然りなので、これは彼の実力といったところでしょう。描き方は確かに上手いと思うのですが、お話にもうひと捻り欲しかった感じもしなくはないです。まぁ、一定水準以上の面白さは感じるのですが。。

次回レビュー予定は、「THE NEXT GENERATION パトレイバー 第七章」です。

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